Dec 22, 2005 に書いた文章です。

 

映画のジャンルで、ただの恋愛モノではなく、コメディ化したものがここ20年弱ほど爆発的に流行しています。このジャンルが確立できたのは、おそらく、Rob Reiner  が立役者なのでしょう。彼はもともと俳優だったのですが、長年Sitcomで培ってきた経験で、笑いを交えたストーリー展開に味付けした、When Harry Met Sally(1989)あたりが転換期だったのではないかと思います。シリアスな恋愛ではなく、泣いて笑ってすかっとしながらも、自分なりに宿題を持ち帰り考える、ってんでしょうか?

私もこの手のものは大好きで、つい最近もWill SmithのHitch(邦題わからず)を見ました。たぶん、ビジネスパートナーには、「なんでコレで泣くんですか?楽しいじゃないですか」と言われてしまうことでしょう・・・。昨日も久しぶり(2年ぶりくらい)で、Meg Ryan, Kevin Kline のFrench Kissを見て、けっこうぽろぽろ泣いていました。そう思うと、ロマンティックコメディに欠かせない役者というのはたくさんいます。が、歳月が流れ、Tom Hanksはドラマがすっかり定着しましたし、Meg Ryanは離婚を経て、年齢圧迫がきついハリウッドであえいでいます。

思うに、私が映画から持ち帰る宿題は、(勝手に)多すぎるのでしょうね。愛に関しての本質には、どうしようもない裏返しがあり、愛しているからこそ背中を見送る、というモノにどうやら弱いのです。が、「大きな心で押しの一手」にも弱く、勇気を以って押していく場面にも弱いのです。まず、コレが一点。いつもこのへんの塩梅の鋭いものが私が泣けてしまう原因です。

あとは、笑いの質が洗練されていればされているほど、恋や愛が実ったときにその将来に賭ける希望も、見ているうちにいつのまにか大きくなっている、という法則もあります。特にハッピーエンドになる必要はないのです。その愛する人といっしょになれたとしても、そこは出発点なだけであり、その後はどうなるかわからないですから、そこで簡単に倖せだったか不幸せだったかは決められません。物語は、映画が終わったあとも続いていくわけです。ただ、願うだけで終わっていいわけです。

ただただ泣かせるだけの、病気・子ども・戦争・不幸の連続・天災などの映画は、私はひねりが足りないと思いますし、その中に必ず人が生き抜いていけるための笑いのペーソスが必要だと信じています。でなければ、人はどんどん悪循環に揉まれ、螺旋階段を落ちるようにひらひらと運命にもてあそばれ、自分の意志ではなく、運命に流されて生きていくだけになってしまいます。

そういう意味で、ロマンティックコメディは、自分が選択した積み重ねをどんどん笑いを交えながら描いているところが、なかなか気持ちがいいのです。

何度見てもいいなぁ、というのが、Julia RobertsのPretty woman, Notting Hill。他にも数個、ロマンティックコメディはあるのですが、この2個が私は好きです。心理学界のセオリーでは、「ヒトは自分に類似点が多いヒトをより求める」というのがあり、恋や愛の結びつきでも同じことが言えます。実際にアパートビルディングの交流関係を統計にし、その上で心理テストをした実験があるのですが、ヒトは自分のテリトリーに近い人々とより親しくなります。が、世の中にはたまーにこのセオリーに反逆している人たちがいるわけです。そういうストーリーを私はとてつもなく興味深く、おもしろく見てしまい、さらに感動してしまうわけです。まさに、愛のパワーって感じ。

Pretty Womanでは、田舎からボーイフレンドを追っかけてLAに出てきてみたのはいいけれども、彼とは別れ、すぐに生活に困り、街角でお客を引く娼婦になってしまい、それでもけなげにまっすく生きていこうとしている主人公が、シンデレラストーリーをなぞります。いつか止めたい、早くやめたい、と思っている節があちこちに見られ、お客さんに本気で恋しないよう、唇へのキスはご法度になっています(余談ですが、日本で唇にキスをした最初の人物は、坂本竜馬だっただろう、と言われているので、よく時代劇でキスしているシーンはちょっと違いますね。歯磨きの習慣などを考えると、やはり明治時代以降という説が正しいように思われます)。Juliaのあの肢体もさることながら、大きな口にやたらと新鮮味を感じたものです。お互いの世界の常識から外れていること」を楽しみ、「実際は本当のところは、それほど違いはないんじゃないか?」と疑い、心が語りかけることに耳を澄ませて恋に落ちていく。そのお互いの心の変化が、行動の変化へと顕れて、恋心はスピンしていく。廻りもそれを察知し応援していったり、邪魔したりと横槍が入る。そういったあらゆることが引き金となり、心臓の震えはもう止まらず、どうしたらもっといっしょにいられるかを考えながら、それでもいっしょにいてはいけないとブレーキをかけながら、時間が過ぎて、決断を迫られてエンディングへ。

「ありえない話」ではないんですよね。確率としては少ないですが、実際にAnna Nicole Smithという20代のストリッパーだった女性は、70代の石油大富豪と結婚し、結婚わずか3年以内で莫大な財産を受け取ることになり、それが物議を醸し出し、裁判などを経てまだ解決していない。他にもUSだけでも身分違い(この言葉がものすごいイヤですが)や日常の接点がないだろう、と思える相手と結婚しているヒトたちは、想像を超えるほどの数がいます。※ このNicoleはその後、亡くなりました。

その逆を行っているのが、Notting Hill, 大女優と小さな本屋のオーナーが恋する話。 ロケ先のイギリスで、自由時間にかわいらしい街角で出会い、どう見ても平均的な男の人が、大女優に求愛作戦をしかけ、バタバタして、最後に大逆転する、というお話。本当ならば、あんな大女優と出会ったところで、あきらめてしまう男の人が多いなか、なぜか彼はこだわったわけです。コレが恋のパワーです。そして、そんな彼を、自分の世界のものさしだけで見なかった女優。最後には困らされたマスコミを巻き込んでのラストチャンスの求愛シーンがあります。私はアレでもけっこう泣けるし、そのあと、出会いの中の思い出を作った公園でのラストシーンでまた泣けるんですね。

コレもありえない話ではなく、業界で知り合ったパートナーと結婚している割合が多い中、芸能人ではないパートナーと長くいっしょに暮らしている芸能人は山ほどいます。特に、自分が売れ出す前から連れ添ったパートナーを大切にしている人たちを見ると、私はとてもうれしく思うのですが、かたや、自分が売れてから糟糠の妻と離婚し、慰謝料もみみっちいタイプの芸能人は私は嫌いです>代表がJim Carrey。他にも、Tom Cruiseのように、売れる前にさんざん女優の年上妻によくしてもらいながら、売れ出してまもなく離婚が成立する前に、Nicole Kidmanを指名して映画で共演し、ボロ切れのように捨てたように見える場合、とても抵抗があります。Penelope Cruz が家庭に入り仕事を辞めて子どもを作ろうとしなかったから別れ、今度は洗脳しやすかったKatie Holmesかい、と私は見ています。そういうわけで、彼がやるロマンチックコメディにはあまり説得力がありません。ひとつだけ、Jerry McGuireだけが秀作でしょうか。あれはストーリーラインのせいで、彼の演技力ではないと思います。※ やはりKatie Holmesも離婚しちゃいましたね (・・;)

他にもたくさんのロマンティックコメディはあふれています。どたばたして失敗を繰り返し、それでもあくまで恋に忠実に振舞っていく。そんな主人公たちを見て、きっと見ている方も元気をもらえるはず。一つの映画で笑えて、しかも泣けたら、とってもうれしいじゃありませんか。自分に足りないものは何なのか?自分の恋はどうなのか?いろいろ考えられる宿題をもらえるかもしれません。

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