Dec 27, 2005 に書いた文章です。

 

私が幼い頃には、本格的推理小説は、江戸川乱歩と横溝正史でした。私は彼らの小説をまずは子供向けのもので小学校3年生から読み始めますが、角川文庫の台頭により、大人用のものも小学校5年からスラスラ読むようになります。近頃はミステリ流行で、TVでも2時間ドラマはミステリ題材ばかりです。日本の何たら劇場などは、すぐに犯人がわかってしまうので、私にはあまりおもしろくありません。

私は長い文章を読むのが好きで、帰国のときに購入した『さお竹やはなぜつぶれないか?』はわずか40分で読み終わってしまいました。映画で言えば、The Sixth Senseのようなどんでん返しな予想外プロットがないと、簡単に先が予測できてしまいます。とは言え、あの監督はその後、あまり売れる映画は作れていませんが・・・。

私が犯罪モノを好むのは、心理学を専攻した性格傾向にあるのだと思います。人の心の動きは、「ささやかだが重要な違い」の積み重ねで、結果として現れる行動や、その行動たちが積み重ねる大きな結果を招いていきます。より論理的に、より証拠を伴って物事を解析していくには、犯罪のケーススタディは、教材の宝庫です。

犯罪や事件を見て、「信じられない」を口にする人がいますが、私はごく自然にBelievableだと受け止めています。自分が同じことをできるかどうか、は別にして、他人の心理構造やそういった行動に至るプロセスを全面否定してしまうのは、私の主義から外れます。人はそれぞれユニークで特別にできあがってきているのですから。むしろ、犯罪者となって刑務所に入れられ、改悛を超えた贖罪(しょくざい)を果たし、ただ一度の人生で大きな成長の幅を経験した人の話には、耳を傾けたくなるものがあります。善悪というのは、その人の心の中にあるスケールであり、政治や法律や宗教がはっきり規定できるものではありません。その許されない範囲の中で、犯罪を起す可能性がある人間がひしめき暮らしあっているのが現実であり、「自分だけはしない」「自分だけは被害者にはならない」と考えて暮らしているほうが、私にとってはとてもナイーブで無知な考えだと思います。

リンカーン大統領は歴代44代のなかで最も優れていたと評価されていますが、彼について書かれた著書の数と出版数(売れ行き)より、19世紀にロンドンを恐怖に陥れたJack the Ripper(切り裂きジャック)関連のほうがもっと数があり売れています。ひとつには、人々がクラシック離れをしたせいもあるのでしょうが、大きな理由は、犯罪という未知なものに対する好奇心は高いのです。

私の長年のネット友だちは、Monsterという映画の主人公である,女性シリアルキラー、 Aileen Wuornosについて、一生懸命英語で見ては調べて、かなりの入れ込みようでした。

他にも、日本ではミステリと呼ばれるジャンルは相変わらず売れているようです。が、私は日本に居る頃から、赤川次郎などは読みませんし、鉄道時刻表トリックなども興味はありません。密室やその他は、すでに江戸川乱歩や横溝正史で学びましたし、そのバライエティとして現代に結びつけるというのはありにしても、ひねりがちょっと足りなかったり、現代実際に行われている犯罪ならば、ミステリ小説よりは、しっかりリサーチしたドキュメンタリーのほうがずっとおもしろいです。あれらを読むくらいならば、歴史小説を読んだほうが、時間の使い方としては私にとっては有効です。が、何かオススメがある場合は教えてください。宮部みゆきと東野圭吾と高村薫は読んでいます。

USで英語で必ず読んでしまう作家は4人いて、Robert B. Parker, Patricia Cornwell, Jonathan Keller, John Grishamです。Jonathan Keller,だけはつい1年前に発掘したので、まだすべては読み終えていませんが、彼は心理学者から作家に転身したので、なかなかおもしろい描写がたくさんあるのです。ハードボイルド・検屍官シリーズに・心理学者シリーズに、あらゆる裁判問題、というのが今の私の読書範囲で、他には、学界論文をまとめ読みしたり、Harry Potterや映画の原作を読んだり、お決まりのPulitzer受賞作を読んでいます。たまに時間が余れば、クラシックを読み直します。

が、たいてい犯罪がらみの題材が多いのはなぜなのか?ニュースのように起きたことを、どこかのテレビ局やコメンテーターの意見として容れるのではなく、自分が考える余地が残されている事実を風景に交えた「写実」を読みたいのですね。そうすることにより、日々の自分の考え方にさらなる磨きがかかると信じているわけです。おかげで、子供だましなワイド劇場の犯人はすぐにわかってしまってつまらないのですが・・・>たまには母といっしょにTV見てあげないと(笑)。

特に、幼い頃からの犯罪者の生い立ちを含めたドキュメンタリーを書いている作家は多く、いわゆる「当たり」と言われる事件を追いかけ、犯人との接点が多く、独占権があれば、その作家は生涯食べることには困らないと言われています。「シリアルキラー」という言葉を生み出させた原因になったTed Bundy  は、ワシントン州に住んで大学に通っている頃、自殺防止のためのホットラインでアルバイトをしており、そこでいっしょに働いていたAnn Ruleという女性は、すでにものすごいアドバンテージがあり、裁判や二度の脱獄なども含め、最後に電話が来たり面会をしたことなどから、彼女のBundy本は売れました。以来、出す本は必ずまとまった数が売れています。

私もこの3年で、相当犯罪史や法医学に詳しくなりました。特に、英語で読めるものは、オンラインでは山ほどあります。映画化されたものもたくさんあり、日本には行かないであろうB級止まりのものや、ミニシリーズTV用など、いろいろ見ています。

日本も驚くほど殺人事件が多くなりました。しかも動機が、貧乏だった頃のように明確ではなく、「お金が欲しい」「新しい女に乗り換えたい~ついでにお金もほしい」「愛憎の果て」ではなく、連続殺人が増えたり、レイプ→殺人パターンが増えています。私は保険金殺人が多いときに、生命保険については学びました>が、最近、損保について学んでいます。自分のためになりました。きっとこのような日本の現状では、犯罪心理についても、ある程度までの知識はあったほうがいい、ということで、現代人は犯罪に魅せられているのでしょうね。うーん、もっとシンプルな好奇心なのかもしれないけど、そうあってほしい・・・。

私の家は犯罪者にはかなり手ごわいです。鉄扉に2個鍵がついており、ゲートはセキュリティつきだし、玄関は4戸が見守る形に作られていますし、階段を上り下りする音が響くようになっています。さらに、窓にはすべてスクリーン(網戸)が簡単に外れないように設置されており、部屋のドアにも鍵がかかります。さらに、私は危ない時間に危ないところには極力出かけないですし、出かけるときは足をしっかり確保し、スピードダイヤルも携帯に記憶させてあります。が、いつ自分が犯罪のターゲットになってもおかしくはないと思っていますし、自分が犯罪者になることも可能性はゼロではないと思って暮らしています。

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