01/12/2007 にアップした文章です。

 

最近は、リレー小説と呼ばれるようですが、プロの作家でこの合作を行っている人たちを見たのは、昭和初期の江戸川乱歩グループのものが初めてです。私は、エラリー・クイーンを日本で日本語で読んだことがない、愚かな小娘だったのです。あと少しで、やっと江戸川乱歩と横溝正史の全部にカタがつきそうなのです。わずかな期間で、日本の推理小説界の大御所とも言えるべき人々を読破してしまうのは、うーん、なんというか、贅沢というか、もったいないというか・・・。そして、最後にかかったところで、この合作小説シリーズを読んでいるわけです。

ネットを検索してみると、素人さんが、推理小説というジャンルとはまったく限らず、好きなことを好きに連ねていく、という遊び方をしているようです。自分のプロットに愛着がある場合には、こういった方法をなかなか取れないと想像するので、たくさんの人々の考えをできるだけよい形でまぜこぜにし、おもしろい最後になるのを目的としているのかな・・・。http://www.0574.jp/r9rel/html/index.php こんな本格的なサイトもあるので、興味がある方はどうぞ。

私が読んでいるのは、江戸川乱歩の書棚に並べてあるもので、そのせいなのか、いつも江戸川乱歩が第一走者です。位置づけとしても、彼が先駆者だった感があり、他の人々はおもしろいプロジェクトに参加しているという、うきうきモードで執筆していた模様です。登場人物の描き方なども、作家によって変化が生じてしまうのも、けっこうおもしろく読めています。うーん、こんなおもしろいこと、どうしてイマドキもやらないのかなぁ。http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%8E%A8%E7%90%86%E4%BD%9C%E5%AE%B6 

少し前に、辻仁成氏と江國香織氏で、『冷静と情熱のあいだ』という本が、2冊1組で出版されました。私もアレは読みましたが、男性側と女性側から描いている同じ時間軸の話と、彼らそれぞれが見る瑣末な出来事や感じ方などを描写しており、合作小説とは、趣がちと違います。アレはアレで、たいへんにおもしろいつくりだったので、著名作家が数人でこういったおもしろいプロジェクトをやればいいなー、などと、読者一本やりの私は思ったりするのです・・・。ダメ?(爆)

http://www.fukkan.com/fk/VoteDetail?no=35368 ここに挙げてある7冊を読破したのですが、登場作家は、微妙に毎回違います。大正末期と昭和初期の推理小説に、それほど明るくない私が想像するに、大御所が持ちかけるプロジェクトに、どのように展開を見せるかで、その後の出世も掛かっていたのか?同じ登場人物が、作家によって言葉遣いが微妙に違ったり、新たな登場人物を出してくることもあり、なんだかワクワクしながら読んでいたのです。

コレって、マラソンの駅伝や、運動会のときの対抗リレーに似ています。誰をどこに持ってくるかで、結果が大いに違う。私は、陸上関連の作戦を立てられるほどの知識を持っていませんが、たぶんそうじゃないのか?と思うのです。遠距離の中でも、山道ののぼりとくだり、平坦な道、応援者が多い道、などなど、おそらく、走者によって、得意な道というのは違うような気がしています。では、江戸川乱歩が第一走者だったのはなぜなのか?主催者だからなのか?ここは、原版ではなく、再版の解説には詳しくは書いてありません。

そもそも、私がこれらの本を、図書館で見つけたことすらラッキーなのです・・・。復刻しないともう販売はしていない類の本になっています。古本屋さんあたりで売られてはいるかもしれませんが、当時の出版数も、きっと春陽書店は教えてくれないことでしょう。

西さんは、小説を書くのはたいへんに苦手なのですが、台湾の古道についてのブログを持っています。検索すれば簡単に見つかると思います(笑)。台湾に親愛の情を寄せる日本人はたくさんいて、さらに、台湾を日本が占領していた当時の歴史についても詳しく知りたい人々はたくさんいます。当然、歴史ですから、史実を丹念に集めるのはたいへんで、当時のナマミの人々のインタビューや証言を、学者やその道の専門家に近い人々が記している資料が多いのです。ところが、西さんが独自に調べたものでも、ときとして不備があり、丹念に調べている方々の中から、間違いのご指摘を受けることがあります。このブログは、彼の息抜きになっており、彼の夢である「台湾の山をすべて登りきる」という動機へと直結しています。

そんなわけなので、西さんと私が合作小説を書けるわけもなく、そもそも、ふたりともにプロットをきちんと構成する能力が基準程度にすらあるかどうか怪しいものです・・・。私は日本の大学で国文科に在籍したことは在籍したのですが、ゼミにもロクに出ることがなく退学してしまい(実際は除籍だったのですが・・・)、セオリー以外に、「書き手のイロハ」はわかっていません。日本にずっと居たら、きっといつか「脚本家講座」や何か書き物講座を取っていたに違いないと思うのですが、あるいは、大学もきちんと卒業していたかもしれないのですが、今となっては、わからないことです。これから習うのはどうなのか?うーん、やりたいかもしれないです(笑)。欲深―い!(爆)

合作小説がおもしろいなぁと思うのは、第一走者が起こした事件を、登場人物を増やしながら、どんどんと幅を持たせていくことにあり、伏線で可能性の道筋をたくさん残しておいたぼやけた現場が、どんどん明確になっていくことですか・・・。しかも、それはひとりの作家の頭の中にあったものではなく、4人から6人くらいの人間の頭が使われるわけです。そこで、誰にどんな評価をするのかは、限りなく読者の勝手なのですが、第一走者になった江戸川乱歩は、のちにできあがる作品に、どんな感想を持ったのか?というのが、かなり気になります。

行間には出ない、切磋琢磨なミーティングをやっていたのか?編集者からゴシップを聞いたのか?どの程度をぼやかしておこうと決めたのか?これは才能テストだったのか?などと、私はいろいろ想像してしまい、ストーリーそのものとダブルで味わえてしまうのでした。

昨今、本屋さんに並んでいる本の半分ほどはミステリですが、どうしてイマドキの人たちは、こんなおもしろいことをしてくれないのかなぁ・・・。もしもしていたら教えてください。私の検索力がなかったのか、「リレー小説」「合作小説」では、素人以外のものは出てきませんでした。これらを読んでいると、こんな結論に達するのです;やはり最後に問われるのは、人柄とその人に宿る頭と心なのだなぁ、と。

人間ウォッチングが好きな私としては、こんなにいい媒体はないです。セラピーもおもしろいですし、カルチャースクールの先生もおもしろいですし、通訳もおもしろいですし、営業開発もおもしろいですし、生徒で生涯居続けることもたいへんにおもしろいのですが、まだまだ世の中には私が見たことも、口を利いたこともないような人々がいるに違いない。

日本では『コラボ』というのが流行っており、私は最初、カタカナでそれを見ても何のことだかまったくわかりませんでした(爆)。Collaborationの略だったんだね・・・。それが流行っているのだから、ぜひぜひ出版界もやってみてほしいです♪