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性を売る仕事

03/23/2008 にアップした文章です。

 

予告通り、Hundred-Dollar Babyを読み始めて、仕事が忙しかったことを予測し、温存しつつ、楽しみつつ、ゆっくり読もうと思っていたのに、1日で終わってしまった・・・(汗)。うがぁ。金曜日の夜、電車の中で読もうと思っていたのですが、添削があったのでそちらをやりつつ、「えへへ、読めなくなってよかった」とにやにやしつつ、その後、コピーをしつつ、Anticipationを高めつつ、とても緊張していたのです。Speed Readingというグループの時間に、そのChapter 1がどのくらい難しいのか?という質問だったので、コピーをして見せてみたところ、「読めるかもしれない♪」と生徒さんたちに言われて気をよくし、その帰り道から読み始めたのでした。

 

金曜日の夜は、翌日の仕事がたいへんなこともあり、母がなぜかケンタッキーフライドチキンの金黒ごまなんとか揚げというのをつまみに、ビールを2本買ってきてくれてあり、堪能してしまい、そのまま爆睡。翌日の電車の中から読み始めたのですが、朝の10時から夜の8時までのうち、当日キャンセルが2コマあり、その時間におにぎりを食べながら読んだだけで、100ページを超えてしまった!この本はわずか300ページ弱なので、いささかヤバイと思いつつ、帰り道にすでに160ページを超えてしまったので、もったいないと思いつつも、夜道で二宮金次郎をしながら帰宅。ごはんをひとりで食べながらも読み続け、そのまま読み終わってしまったのでした。惜しい。クタクタに疲れていたら、今日まで楽しめたものを・・・。

 

今日の仕事も、午後1時から夜の8時過ぎまでなので、なんだかエッセイのことを気にかけつつ、一気に読み上げてしまったのでした。ネタバレがあるので、ご自分で、日本上陸を待ちたい方は、この先は読まないでくださいね。

 

スペンサーシリーズの第2作で、スペンサーはスーザンとも出会うのですが、その事件は悲惨なもので、15歳の少女が大人の思惑に翻弄され、いつしか売春をして独り立ちし、親からも学校からも離れて生きていくというものでした。事件が解決した最後に、スペンサーはApril(エイプリール)の成長しきれていない主張を飲むしかないことになります。この決断を、私は最初、「すごすぎる」と思ったのですが、いつになったら「ツケ」が追いかけてくるのだろう?と思ったのです。Robert B. Parkerが生きていて書いているあいだに何かが起きるであろう、と。スペンサーは、エイプリールの「あんな親とは縁を切るし、学校なんか信用できない。私は売春をして生きていく」という決心を受け容れ、「どうせ売春をして生きていくのであれば、最もリスクの少ない高級コールガールの道へ」と、New Yorkのマダムのところに彼女を連れていくのでした。

 

売春のまとめ日本語版 

http://en.wikipedia.org/wiki/Prostitution 英語版

 

そして、シリーズ35作中半分くらいのところで、エイプリールが再登場します。今度は、高級コールガールになり、間違った男と恋愛をし、マダムのところから脚抜けをして、その男がPimp(上前をはねて統括する)になり、利用されまくっていたところで、またもやスペンサーが助け出すという設定。無事に、高級コールガールに戻ってしまうわけです。そこでもチョイスがあることを示されるのですが、15歳から続けている仕事から、彼女は離れることができませんでした。

 

そして、35歳になった彼女が登場するHundred-Dollar Babyですが、悲しい結末でした。もちろん、これはRobert B. Parkerの世界観が作ったものですが、マダムのほうは、ボディガードだった恋人に死なれ、娘同様に育ててきたエイプリールのために、ボストンに支店を、損を覚悟で出してやります。話が進むにつれ、物語の全容は明白になるわけですが、私はどうも第10章くらいからわかってしまっていました(今回は、64チャプターまであった)。

 

女として性を売るには、男に頼らねばならず、それでも男たちには裏切られ続け(エイプリールの場合は父や本気で好きになった何人かのクライアント)、肉体的衰えがあり、幸せとは言い切れない毎日が続き、マネージメント(女でも女性からPimpingするということになっていく。が、女の子たちに好条件で助け合いながらやろうとする)に立っても、クライアントからは「ボスとやらせてくれ」という高額な頼みはある。マネージメントは、地元のマフィアや警察との密な繋がりが必要で、神経を尖らせておかねばならないことがたくさんあり、それらはほとんどが男たち。

 

エイプリールのPsyche(サイキ)は壊れていることが、読み進めるにつれ分かってきます。筋肉が必要とされる仕事もあり(暴力で身を守る)、上前をはねようと狙うイタチのような人々がたくさん出現し、彼女が疲れ果て、マダムにはなりきれないこともわかっていき、本当の愛を見つけようとしても、彼女をまるごと受け容れてくれる人はどうも見つからない。

 

スペンサーは彼女を助け続けることを使命としているのですが、今度も助けることだけに固執し続けます。が、殺人が2つ起こり、その犯人が彼女であることを疑えてしまったときに、彼は彼女を警察に渡すことを拒否します。対峙して話し合いがもたれたときに、彼女の銃口に曝されるのですが、彼女は矛盾を裡側に抱えながら、彼に救い続けてもらうことを選ばずに、自滅することを選び続けた自分の人生を清算してしまいます。結末は、読みながらわかっていたはずでしたが、悲しかったですね。

 

私は個人的に、風俗や売春に対して偏見は持っていません。以前も書きましたが、「その事実、体験をずっと抱えながら生きていくのは至難の業」だということは、今もやはりこの小説を読み終えて揺らいでいません。がゆえに、私はPTSDにもなったのだろうし、売春を生業にしたこともないのでしょう。マダムは、経営をしながらも、自分はとても早い時期に売春そのものを止めていました。それがコツだと語る場面があります。私はそのようには割り切れない性格なので、やらなかった自分に対しては及第点を上げています。

 

人がどのようにどんな職業を見て査定するかなどは、実際は根底事項ではなく、自分が人々の思惑に翻弄されやすい人間なのかどうかを見極めているかどうか?が、そもそもの問題なのかもしれません。もっと根底にあるのは、自分がしてきたこと、積み重ねである自分の過去の行動に対して、どれだけの正当化が自分の中でできるのか?です。嘘や無理な正当化は、孕んだ矛盾をどんどん大きくさせていくだけで、何も鎮めていかず、心が壊れたまま、幽霊のように生きていくことになってしまうのかもしれません。自分の存在や考え方を否定されたあと、再出発やセカンドチャンスを信じることができないまま、路線変更ができなければ、売春は生業にしないほうがよさそうです。夢をかなえるために、売春をして元金を掴んだとしても、その事実はいつまでも自分を追いかけてくる。それに耐えられない人は、時間がかかったとしても地道にお金を貯めたほうがいいです。

 

私は未だに売春が悪いことだと思っておらず、子どもでもなく、強要ではない場合、大人同士が報酬を挟んで性行為をすることは、その個人たちの意思決定だと考えています。ただし、危険要因がたくさんあるので、それに向き不向きもたくさんあることは確かです。性病や暴力やその他、実際にイメージだけではない実在する危険要因を回避するか、解決できる能力がなければ、サバイバルはできません。サバイバルしたあと、辞めたいと思っても辞められるかどうかは、個人に掛かってきます。過去は必ずくっついてきて、葛藤をもたらします。

 

そしてスペンサーは、大きな心の傷をまた引き受けて、探偵仕事を続けていくのでした。とはいえ、私はRobert B. Parker氏の健康が心配です。ずっと書いてくれぇぇぇ。

 

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