紀久美先生へのQ&A~心理学講座編~その88

子どもが親と似たような性格だったりしますが、それは遺伝によるものですか?

いえいえ、そんな単純なことではありません。DNA遺伝と後天的な学習によることが多いです。なぜ親に似てしまうのかともっと言及すると、同じ家に住み、食事を一緒にしたり、会話をしたり、成長していく中で様々なことを学ぶ中で、親のやり方をそのまま踏襲している場合が多いからです。

そこで「なぜ」を奥深く考える子どもの場合、似てしまう確率は減ります。なぜならば、自分が生き延びていくために最も良い方法を採用したいという本能が働くからです。そのためにその時点で持ちうる知識やスキルを大導入させて、親とはまた違った形にしたり、友達や先生や他の人たちを見て真似ることも多くなっていきます。

行動から性格の方向性が変わったり、考え方から性格がしっかりしてくるために、親と似ていないところが増えていくのが望ましいですが、基本になるコアの部分は似ていた方が、親子関係は円満でずっと営まれて行きます。

本当に瓜二つな性格になってしまうということは、社会が刻々と変わる中、あまり良い事とは言えないのではないでしょうか?進化の基本は「変わっていく世の中で生き延びる確率を増やすこと:そのために最善最良の選択ができること」です。

貯金に例えて見ればわかりやすいでしょうか?

一つの銀行だけに大金を預けておくことは、その銀行が潰れてしまった場合取り戻せる額・保証額に限界があります。たくさんの銀行に分けて同じ金額を預金していた場合は、すべてが回収できる確率が増えるわけです。

確かに親は愛するべき存在で、育ててくれた恩もあります。けれども、親をコピーすることで、変わっていく社会の中で「効くこと vs. 効かないこと」の明暗が分かれて行きます。進化論の根底にあるものは「多様性」です。が、その上で最も効果のあるスキルを身につけ、性格になり、エネルギーが少なく楽に暮らしていけることが、種の保存を維持できることに繋がります。

大きな進化ではなく、ミクロとしての進化を考えた時も、一人の人間の生涯が、ユニークで特別で面白く繋がっていく方が、きっと楽しめると思います。心理学の大切な概念であるSelf-Esteem: 自己肯定感は、自分に価値があると認識することから生まれます。親に愛されることはその大きな一つですが、その後、自分で自分のことを深く愛せるようになるためにも、親と似ている部分とそうでない部分は、自分でしっかり分けられた方が良いかと思います。

皆さんは自分の親御さんに性格は似ていますか?似ているとしたらどこでしょうか?深く考えたことはありますか?

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