友だちは多い方がいい?
多いほうがいい、とおっしゃる方はきっとたくさんいらっしゃるかと思います。広い世界に出て、そこにいる人々のいろいろな考え方が得られるから、などと尤もらしいことをきっとたくさん吹き込まれたこともあるかと思うのです。
心理学的には、「友だちは少ないほうがいい」という結論が出ています。ただし、心理学ですから統計学的な結論であり、判断は個人が決定してください。進化心理学という新しい学派の説明で、咀嚼するのが少し難しいかもしれません。
人口密度が多く、人が多い場所に住んでいると、いろいろな支障が起きます。ただ、知性が高い人は「よりよい選択」ができるという結論を元にすると、郊外や都市部に住んでいても、たくさんの友人の中から、自分にとって「最善・最良」の友人を選びます。その「考える」という面倒さをスキップしたい人は、そうしたそもそもの選択が必要のない、田舎を選ぶわけです。人々が少ないために摩擦も少なく、摩擦があっても、合議制でなんとか解決できるような。
友だちが少なくていい理由は他にもあります。刺激がたくさんある中に住んでいると、とにかく情報量が多すぎて、取捨選択しづらく、最善・最良から離れてしまうこともままあるわけです。友人がたくさんいるということは、その選択肢は増えるものの、基本のキが見えづらくなってきます。ゆえに、知的な人にとっては比較的「当たり前」の作業である「考える」という行為をなるべくスキップしたい人にとっては、友人が多くて自分のために選んでくれている状態を好みます。友人が多いということは、ひとりになる時間が物理的に少なくなりますし、考える時間が減ります。考える・読書をするなどというひとり作業の時間が減ると、知的発達が停滞してしまう方向に傾いてしまうのです。さらに、友人が多いということは、ひとりひとりの友人に対して割ける時間も少なくなってしまいます。ゆえに、深く考えて共感したり、コミュニケーションを密にしたり、高揚感を得る機会そのものが減ってしまう、という不利益が生じてしまいます。
時空を超え、物理を超え、他者の考えや気持ちを考えるためには、ひとりでいる時間を大切にできたほうがいいです。とはいえ、そのためには、幼少時代にその原型となる「友情」のありがたみ・深さは体験していないといけません。
知性が上がれば上がるほど、本当の意味での友人は減り、人間関係でも、「知り合い」「仕事仲間」「遊び仲間」「相談相手」「恋心を持てる人」などと、ジャンルが増えていくはずです。
少し考えてみてくださいね。
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