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『正義の証明』 森村誠一

09/28/2006 にアップした文章です。

 

なつかしすぎて、思わず図書館で森村誠一を借りてしまいました。「証明シリーズ」で読み落としていたものがあったっけ?と思いながら、最近のものであることを知りました。なぜか扉には若い頃の写真が載っているものの、森村誠一氏はすでに70代。私が10代の頃に映画化された原作を読んで以来、それほどすごい著作活動をしているのか?と思ってきたのですが、16・7冊借りてきた中で、コレは相当おもしろかったです。

ところが、私のほうも10代の頃と違い、ちょっと賢くなっちゃってるんですよねぇ。ミステリーな部分の犯人探しのところで、見事に予測がつけられちゃいました。西さんは、「大先生だから、もう書生さんが書いているのではないか疑惑」を持ち続けています。自分が70代になったときにモノが書けなくなる予測を立てているからなのでしょうか?私はご本人が書いている方に一票。やはり漢字の使い方が違うのですよ、現代人とは。「かわす」「じっと」などひらがなにしてしまう現代人が多い中、森村誠一の文体の中では、漢字を使っています。私のエッセイを長らく読んできた方々にはバレバレですが、私も癖のある漢字の使い方をします。ひらがなにしたいものとそうでないものが分かれており、漢字もIMEで一発で出てくるものを使っていないものがたくさんあります。しかし、私などは足元に及ばないほど、この本の漢字の使い方はすごい。いっしょに借りてきた宮部みゆきや東野圭吾のものにはなかった漢字がたくさんあります。しかも、森村誠一の本の中には、英語もちゃんと出てくるんですよねぇ。流行語も少し入っていました。教えられてしまいびっくり・・・。私は自認している日本文化浦島太郎なので、勉強になりました。

2004年の著作なので、ネタバレOKですよね。

遺族や被害者が蒙るひどい法についてをばさっと斬るストーリーです。そこで、私刑人を登場させ、殺すわけではなく、麻酔弾で昏睡させ病院送りにし、その後、警告文を送りつけ、その中で「要求に従わない場合は次に実弾で撃つ」とするわけです。なかなか気持ちがよく、私刑人のことを世論も支持しています。が、警察の立場の人間も登場し、いろいろな文言を吐かせています。その警察の上下関係なども浮き彫りになり、しっかり「正義とは」を考えさせられるようになっています。

サラ金や闇金融、夜の世界や麻薬、ひき逃げや売春やレイプなどなど、いろいろな被害者が泣き寝入りする中、世の中を質し、いい方向に持っていくために予告をして脅迫する私刑人は、本当に罪があるのでしょうか?西さんの感想は、「正義とは常に法律内にある」というプラトンの言葉に従ったものでしたが、結果はどうであれ、人々には感情があります。

たとえば、昨日報道されていた、女性小学校教諭を殺し、26年間床下に遺体を隠していた人は、刑事でも民事でも時効が成立されるとのことでした。刑事事件では、時効になった翌日か翌々日に自首してきたために裁かれることもなく、家に無事に帰りついたそうですね。そしてそれに腹を立てた遺族は、床下に遺体を26年間も隠していた罪について民事で訴訟を起こしたそうですが、隠匿罪だったか死体遺棄罪だったかも刑事事件としては時効を迎えており、1億8600万の訴訟金額が、たったの330万だったというのですからオドロキです。私の第一声は、「法制は国民をナメてんのかい・・・」でした。

人の命であっても中華圏では1人あたり100万程度だったことが、中華航空が落ちたときに判明し、慌てふためいたと思います。アメリカでは1人だいたい1億くらいが相場です。稼ぎの多い人についてはもっともらえます。この差はすごい。交通事故でも同様で、足長おじさん基金などに頼らねば、子どもたちが学校も満足に終えることができない現状はいかがなものなのでしょう・・・。正義ではないです、コレ。

『正義の証明』の中でも、交通事故でひき逃げされた少女には後遺症がうんと重く残り、それでも「相場は5000万」なので、私刑人も仕方なく、加害者に5000万を請求しています。10代の少女の将来が損なわれた金額の多寡が、たったの5000万・・・。私には到底納得できない金額です。身体だけではなく顔にも後遺症があり、しっかりと将来を約束された就職や結婚のチャンスも減りました。5000万じゃ働かないで一生食べていける金額じゃないです・・・。

私が40歳過ぎて、これから寿命を全うするまで生きていくにしろ、家のローンをすべて終わらせた上でも、葬式代やネコの引き取り人へのお礼を入れても1億くらいは必要だと思っているところです。4千万ほどは生命保険でクリアできても、まだ6千万足りない。学費のことを考えるともっと必要です。アイビーリーグに行くことができれば、年間500万以上かかるのですから・・・。

本の中でおもしろい表現だな、と思う箇所がいくつもあり、「やはり森村誠一はすごいぞ」と読んでいてワクワクしました。小さい頃、江戸川乱歩と横溝正史に出会って以来、私はどうもミステリーに強い。なので、赤川次郎などは3冊しか読んだことがなく、松本清張やいくつかの秀作以外は、外国作品に流れてしまったのです。森村誠一も図書館にある分だけは読んだ記憶がありますが、やはり年食ってから読むと違う感想があるものなのね・・・。私が過去18年半もアメリカに居たことも影響しているのでしょう。

図書館では16・7冊借りたのですが、2週間以内で読めてしまったので、1日1冊以上をしっかり読んだことになります。明日、新幹線に乗るので、今日また本を大量に借りてこようと思ったのですが、図書館は10月1日までお休みとのことでした。中央図書館が入っている市の持ち物であるビルが工事中なのです。なので、今日水曜日から4日続けてお休みなんだよぉ。ひどいなぁ・・・。そんなわけで、近所の本屋さんで2・3冊買おうと思ったら、なんだか5冊になってしまいました。西さんも1冊『柿本人麻呂』の岩波を買っていたようです。そして、ハワイの親友に紹介してもらった『今日の猫村さん』の1・2の予約をしてきました。猫物語に弱い私なのです・・・。

あ、正義ですが、万民が共通して納得できるコレ!というものがないにしろ、人々が思う正義がせめて身の回りだけでもいつも起きてくれなければ、と思うのです。せめて、愛する人々が安全であること。せめて何かが起きてしまったときにも生きていくのに不安でもなく、不自由でもないこと。コレがなければあとがどんなに平和でも、本当の平和ではないです。戦争があるなしが平和の基準ではありません。心と身の平和がやはり基準であるならば、天災以外での被害に遭わないこと、遭ってしまっても補償がされること、が大切です。

私も被害者に何度かなりました。が、癒えてきた今思うのは、やはり憎い・許せないと想い続けていくことはつらいです。心の平和にはなりません。なので、きちんとした補償をしていただけるよう、働きかける予定にしています。仕事も忙しいのでやる気が第一優先になっていないのですが、必ずしなければ、私には『正義の証明』ができないことになります。

いい本だったので読んでみてね♪

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