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カリフォルニアにおけるヒスパニック あるひとつの人種問題

12/14/2006 にアップした文章です。

 

ちいちゃんからの素朴な疑問から発展したエッセイです。個人的にちいちゃんを傷つけるような羽目になってしまったら申し訳ない。その点、ちいちゃんとはけっこう長いおつきあいになってきているので、いろいろ汲んでもらえるのではないかと、胸を借りることにしました。ちいちゃんが住んでいるところは、カリフォルニアの南、San Diego。テキサス州と並び、中米と南米からのヒスパニックが、不法で侵入する率が高い地形になっています。私などは、北に住んでいたので、日々の緊張感などはわかるはずもなく、比較的親ヒスパニック一本やりでやってこられたのですが、地元の人はたいへんだろうと思います。それを踏まえて・・・。

まずは、人が住居国を移動することに関して。国同士の取り決めがあり、その法律は定まっています。日本のように島国であると、それほどに意識する問題ではないのですが、ヨーロッパなどでは国境検問所や税関などがある以外、地面に線が引いているわけではなく、不法侵入は日常茶飯事で行われていることでしょう。国同士で決めた国際法は守らなければならない。が、しかし、ひとつひとつの国(現在300以上あります)の中でも、己の国の法律は機能しているものもあれば、機能していないものもあります。だから、その法律を取り締まるために、法治国家では、警察が存在します。今日の報道でも、ひき逃げをされて殺された少女のトラック運転手の時効が成立しました。女の子の自転車は600mも引きずられた揚句に捨てられていたそうですから、運転手の行動は明らかに致死と死体遺棄に繋げていける意図的なものです。こうして、機能しない法律もあるわけです。さらに、法律の目を潜って犯罪だけではなく、移住なども行われています。完璧な文律というのはありえない。それは、人類は進んでいるからです。まずは、コレを大前提として理解してください。

アメリカは、移民で築かれた国家です。その先祖はイギリス人が始祖だとされ、主要・強力メンバーになっており、移民史はそれなりに複雑で、未だにその始末がついていない問題が山ほどあります。ヒスパニック、特にメキシコ国民の労働力に多大なる依存があったのは、いつも農業と建設でした。アイルランド系の移民には、警察官と消防士が多いのです。北欧系の移民には、畜産関係の仕事に携わる人が多いです。未だにそうであるのは興味深い事実です。建国とその発展の事情で、人々は翻弄されてきました。中でもヒスパニックは、地理的条件がUSにごく近かったために、労働許可や永住権を簡単にもらえる政策にも数度ぬか喜びをさせられ、懸念が取り払われると剥奪され、という繰り返しをしてきたわけです。そもそも、メキシコに限っていえば、カリフォルニアやテキサスの一部は、メキシコ領土であったものを、アメリカに武力で奪われており、その歴史をどう見るのか?で、人々の心持も変わってきます。日本も第二次世界大戦での米国からの影響は未だに尾を引いており、安保や米軍基地などの問題たちは山積されています。ここも理解して、前提の中に入れておいてください。

さて、ちいちゃんが2個の事例を挙げてくれました。ひとつは、違法移民が私有地にキャンプしたことについて、違法移民を支持するメキシコ系アメリカ人は「サンディエゴはアメリカで最低の人種差別者の土地」と言ったこと。

コレは受け止める側が賢くならねばならない問題だと思うのですよ。ここには論理がない(笑)。昨日の「強い・優しい」について書いたのと、かなり似た単純すぎるモノの見方になっています。その見方に対して、どうして怒るかなぁ。損気だと思うんだよね。

まずは、統計の考え方として、母体から考えてみましょ。世界であろうがUSで限定してもいいのですが、法治国家では、「法律違反をしてはいけない」を支持する人がほとんどのはずですが、モラルがさまざまであるがために、人によってはある物事については自分の尺でなぜか法を無視するわけです。そのひとつひとつのケースについて、丹念に見ていくことができるのが、人としてのゆとりなのですが、すべては天文学的数字になるので、身近なものだけでもせめて、ケースとして扱う態度はあったほうがいいな、と思います。なぜならば、前提に書いた通り、法律にすら穴はあるからですし、時代の流れに沿った改定がされていないものも多々あります。

そのひとつが、違法移民を支持すること。それぞれにいろいろな理由があるとは思いますが、違法移民についての門戸を開く運動をするのと、San Diegoの悪口を言うのはまったくふたつの別の話です。移民法についてとやかく言うのであれば、それに徹すればいいものを、なぜかたまたま隣接している土地とその人々の悪口を言うことで、何かメリットが?溜飲を下げられるのでしょうか?しかも、私有地にキャンプしたのであれば、それについては罰せられるのでしょう。移民法とは別の法律です。それを無理やり繋げるのは、かなりの大技(爆)。

コレを聴いた人も、読んだ人も、それを真に受けるのはどうなのかしら?と思う私は冷酷なの?「日本人はエコノミックアニマル」と言われて腹立てませんよ、私・・・。「日本人は勤勉」と言われても受け入れませんし>私は違うし、そうでもない日本人増えているし・・・。マスコミに載ったから、載ったもん勝ちのように振舞う愚かな運動家に、間接的であっても隙を与えてしまうことになるのでぜひぜひ、こんなことで怒らないでいただきたいです。それにねぇ、この発言をした人は、一体アメリカのどこの誰たちと、San Diegoをしっかり比較したわけなのかしら・・・。このような幼稚極まりない罵詈雑言は、聞くに値しないと、切り捨ててしまう私は、やはりたいへんに冷たいのかもしれません。このような中傷を口にする人たちとは、私はとりあえず移民法について話すことを拒否します。掲示板でも散々やってきたのですが、挨拶もせず、本題に触れず、ただの悪口を言う人は「カンベンしてください。私は無視してください」と言ったのと、同じ心理ですね。

もうひとつは、言語について。去年メキシコ系の高校生の親達が学区を「メキシコ系の生徒の成績が他の人種より悪いのはテストを英語で受けなければならないからだ。メキシコ系の生徒にはスペイン語でテストを受けさせろ、人種差別だ」と訴えました。。あの~。。私も日本語でテスト受けたいんですけど。。ダメですかぁ?

私はコレについては、書きたいことはけっこうあります。このステートメントは、事実な部分もかなり、相当に大きいと思います。実際に、黒人やアメリカンインディアンについても、同様な措置が取られており、それについてちいちゃんの「日本語で受けたい」というのも、一部実現しています。たとえば、DMVの免許。駐在員が多い地域では、ちゃんと日本語で受けられますよ。人殺しされてはかなわないですもんね。それに車を動かせないと生活そのものに大きな支障が出ます。教育に関しては、「Ebony Englishやそれぞれの部族ごとの言語で、初等教育を徹底的にしてから」という方針は、決して間違っていないと思います。特に、アメリカンインディアンたちは、一旦居留地に出たあと、教育を受けたエリートたちが故郷に戻り、教員や弁護士や医者などになって、地域に貢献しているのをよく見ます。それについて、「差別」とやいのやいの言うのはどうかと思いますが、実際に、差別はあったのだから、手を差し伸べることくらいしてもいいのでは?と、私は至って弱者には加担したいところです。

成績が悪いのは、新品の教科書を自分でまともに買えなかったり、副教材などに手が届かなかったりする経済的事情もあります。ひとり一部屋であれば確保できる勉強時間もなかったり、アルバイトや稼業の手伝いをしなければ食べていけないヒスパニックの一家は確実に存在します。ヒスパニックだけではなく、移民はみなたいへんでしょう。義務教育のテストの範囲であれば、私は母国語で授業を受けさせてあげるくらいのゆとりはあってもいいと思えるのです。私も今、英語を日本人に教えていて、100%英語で教えても文法やシステムや法則性でつまづくケースをよく見ます。なので、日本語と英語のちゃんぽんです。自分の例を取っても、数字の暗算は限りなく日本語でやっているし、アメリカに18年半も住みながらも日本語をとても大切にしています。母国語について、その文化について、尊重せず、主流の文化に同化せよ、というのは、差別だと思いますよ。

実際に、日本よりひどい学歴社会では、少しでもいい大学に入ることは、ひいては一家を支えることになるわけです。高校生の親御さんたちが、特にヒスパニックの子どもたちに期待をかけて、いい大学に行ってもらいたいと願うのはわかります。支援してもいいと思いますけどね、私は・・・。

私も勝ち組-負け組という表現は、あまりにお手軽すぎて嫌いですが、移民法において、難民ではなかったという意味で使わせてもらいました。移民用の書類をそろえるのに、数百ドルなど掛けられない人々はやはり確実に存在します。それでも、アメリカンドリームを見てもいいではないですか・・・。ステキな夢だと思うんですよ。

またちいちゃんからのコメントで続編がありそげな予感かしら?(笑)

 

 

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