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デジタル日雇い

02/05/2007 にアップした文章です。

 

派遣会社形式の日雇い版を、帰国してから見つけて、実は私も登録し、3回ほど肉体労働に行ってみました。いろいろな会社がありますが、大手は、フジテレビ他の夜の天気やニュースの5分番組のメインスポンサーになっているほどの大きさです。もっとも人口が多いのは肉体労働ですが、一般事務もあれば、看護婦さんや医師までの「1日からの日雇い」はあるのです。すごい世の中になったなぁ、とは思いませんか?これを便利と見るのか、社会形態の崩壊と見るのかは、意見が分かれるところだと思います。

日雇い:一日だけの約束でやとうこと。また、その約束で働いている人。

私が子どもの頃は、この「日雇い」というのは、ネガティブなイメージのほうが多いものでした。私もアルバイトばかりで、正社員になったことがなかったので、かなり世間ランキングの下方に位置していたはずです。ナレーターコンパニオンなどは、毎日ある仕事ではなく、結局は派遣・紹介形式なので、月に10日から半分くらいしかなかったのです。が、時給・日給(ほら、日雇い形式・爆)が高かったので、その時間は空けて、朝と夜にレギュラーワークを入れていました。日雇いには、「人夫」などという、今ではPolitically incorrectな単語が付くようなものでした。

おそらく、ギリギリの生活事情にいない人や、自分のライフスタイルを助ける日雇いの職種を見つけられない人々にとっては、このデジタル日雇いは、未だにネガティブなイメージが強いのでしょう。確かに昔は、東京でいえば、高田馬場や山谷(さんや、と読む)の早朝、肉体労働、特に建築現場の日雇い希望者が、並んでいた風景を見かけました。安い簡易旅館や旅館とも呼べないほどの施設に泊まり、あるいはホームレスまがいに雨露をしのぎ、その日暮らしを続けていた人たちは、確かに当時からいたのです。もっと遡ると、戦後、食べ物がない時代には、毎月の月給をもらえるような仕事にありつける人々のほうが少なかったと言えます。

社会全体が復旧してきて、まず建物や道路が立て直り、交通網が多少戻り、それから保障のある仕事の数が増えたのです。どのくらい貧しかったのか、どのくらい日々たいへんだったのか、を考えるに、私は映画『仁義なき戦い』のテントを思い浮かべてしまいます。広島だから起きたことではなく、人が食と職を求めて出てきた都会だった土地では、似たような状況だったでしょう。飢えのために盗みが横行し、はしっこい人々ばかりが得をし、貧しい人々は山本周五郎の小説の世界のように美談を作り上げていくような、そんなつらい時代が続いたのだろうと思います。

昨日までは日雇いをしていた人々ですら、自分の身の安泰が少しでも開けてくると、日雇いを否定するようになりました。日本経済の世界的奇跡ののち、当然、ひとりひとりの努力や苦労から成ったことだとはいえども、日雇いをする人々を「お荷物」であるかのように扱う人々が出たことも否めません。

歴史はこのくらいで・・・。私は、『鬼平犯科帳』と山本周五郎を読み続けて、現代の日本は、江戸時代に戻ってきているようだ、という感想を持ったのですが、実際は、戦後のひどい時代にも似ているのかもしれません。江戸時代は、『口入れや』さんがその紹介をしていました。アメリカでもそうですが、貧富の差が開くということは、どこかでとてつもない不幸が貧困のために起きているということです。アメリカでは、日本が鍋釜を軍に提供し、兵器を作らねばと言っていた最中に、蛇口をひねればお湯が出てくる設備をすでに持っていました。が、その60年以上経った現在でも、デイケアセンターや学校に、子どもを通わせるお金がなく、クロゼットに閉じ込められたままで餓死や放置のために死んでしまう子どももいます。貧困の理由は、勤勉に働くことができなかったり、ドラッグ中毒だったり、強い学歴社会が生み出したものです。そのひとつに、雇用体制や給料支給制度があります。

「人は弱いもの」です。コレは「人は強いもの」という裏打ちを持って、二極として必ず存在しています。大金が目の前にあったら、誰も見ていなかったら、拾って自分のものにしてしまうことが誰にも可能性としてあります。万引きの件数が増えてきているのを見て、その弱さを肯定する人よりはなじる人々のほうが多くなっていることに、私は少し不安を覚えているのですが、日雇いにもこの弱さが大きく影響します。日雇いした当日か翌日か、数日以内に報酬がもらえるということは、計画性のない人はすべて使ってしまう可能性も高いのです。特に、高田馬場や山谷の人々が悪く言われた理由に、アルコールや覚せい剤等があります。そのために、自分の血液まで売り、悪循環をずっと通したまま死にゆく人々もわずかではなかったのです。

デジタルになり、若年層のほうが手軽に使える日雇い形式は、「計画性と覚悟」を持っている人々だけに利用されるとは限りません。特に、日銭が欲しいために絶望的になっている人々は、そのお金をアテにして生活していくわけです。月給を1ヶ月から最長1ヶ月と25日待つことはなかなかできない。目先のお金は、高邁な心がけや目標よりも、誘惑が強いものです。

そんな人々に対しても、質屋さんは金貸しではなくなり、要らなくなった高級品などの買取所に様変わりし、サラ金や高利貸し、果ては悪徳金融までが確実にお金を儲けています。高齢者の年金を担保にしてまで、お金をむしりとろうとする類の人間も実在します。その横で、自分が働いたお金をどう使うか?について、懇々と説教することが、いったい誰にできるでしょうか?難しいです。

かたや、看護婦さんや医者のように、スキルを持った人間が、日雇いをするのは、強みで便利です。自分のスケジュールを調整でき、しかも、日当は即日でもらえる。私ができる通訳のバイトなども、短期は3日からあります。1日というのは少ないですが・・・。パイロットのライセンスも、FAAから日本用に切り替えるお金さえあれば、1日の日雇いはきっと見つかるに違いないです。こうした、強みとして便利に使える人々が、本当に人口の中に何パーセントくらいいるのか?を、私は疑問視しています。

こうしたデジタル日雇いがあるからこそ、昨日までNEETだった人が、外に出ることがそれほど困難ではない、という職事情はできました。昨日の履歴書のようなものを、それほど肉体労働では厳密には要求しないわけで、特に宅急便の仕分け作業や、倉庫での荷物整理や、引越し関連など、肉体労働が必要とされている仕事はまだまだ精密ロボットが出てこない限りありえないことでしょう。仕だしお弁当やさんなどでも同様で、衛生面での不安があるがゆえに、ただ具材をお弁当のパッケージに乗せるだけの仕事も、これだけ外食やお弁当が多い世の中、切れるわけもありません。

が、いつまでこの形態で仕事を続けるの?これが分かれ目です。アメリカでも、まともな仕事であっても、毎週か隔週で小切手による給料支払いがあるので、ホームレスになりやすい。日本でもこの生活に甘んじ、自分に厳しい覚悟がなければ、ホームレスは「明日は我が身」です。心配です。ある人は、定期収入のほかに、便利に休日にエクストラのお金を得るために登録しているので便利だと言います。それは賢いでしょう。大型休暇など要らない人もやはりいるかもしれない。遊びに行くお金がある人ばかりではないのですから。実体と便利は違うことを、よくよく理解し、覚悟し、この日雇い形態は使わなければ、誘惑は大きいと思えます。

お恥ずかしいことに、私は少し風邪気味で、喉が痛くなって起きました。今年の冬は暖冬らしく、マンションのせいかな、と思っていたのですが、まったく暖房を入れないで暮らしてきたのです←コレ、すごいよね?が、急に冷え込み、足だかおなかだかを出して寝ていたようで、朝起きたら喉が痛かった・・・。すぐに対策をしたので、風邪にはならないと思います。デジタル雇用に、とんだオマケでした(笑)。

 

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