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履歴書の謎

02/04/2007 にアップした文章です。

 

ここのところ格差社会における雇用問題について、ざらーっと眺め回しているのですが、そもそもの若い人たちや勤め先を探している人たちが最初にするのは、実際に仕事があるかどうかを探すこと。次が履歴書の準備かな、と思っています。そして、文具やさんやコンビニ、どこにでもある履歴書を見てみたのですが、これはいつまで経っても「便利」な形がコレなのかなぁ・・・。と不思議に思っています。

履歴:現在までに経てきた学業・職業など。経歴。
ヒステリシス:Hysteresis;一般に、物質や系の状態が、それまでたどってきた経過に依存すること。特に、磁気ヒステリシスをさすが、他に、誘電分極や弾性体のひずみなどにも見られる。履歴現象。

私が最初に履歴書を手にしたのは、高校のときで、バイト絶対禁止の私立だったのですが、誕生日1ヶ月前にはしっかり応募しました。が、そのときも考えたのが、この履歴がなぜ必要なのか?という不思議さ。身元確認のためであれば、ID提示がよかったのではないかと思うのです。やっぱり学歴社会という基盤があり、どこそこの学校に行っている(行っていた)のであれば安心、というのはあるのです。中退も除籍も書かねばならず、出身地やいつまでそこにいたのかもわかります。最近では、この個人情報に関する管理についてはたいへん厳しいですが、20数年前に個人情報のきっちりした保管ができていたとは思えず、しかも面接のときに得た情報を、私の場合はファミリーレストランですが、みんなに「話してしまって当然いいこと」とみなして言ってしまう傾向もあり、なんだかとても不思議でした。

さらに、あの不思議な項目がたくさんあります;免許・資格、志望の動機、特技・好きな学科、通勤時間、扶養家族、配偶者、配偶者の扶養義務、本人記入欄(特に給料、勤務時間、勤務地、その他についての希望があれば記入)、保護者(本人が未成年の場合)が、羅列です。必要事項も、雇う側としてはありますが、相当な個人情報てんこ盛りです。なのに、今とは違って、「出していただく」という建前ではあったものの、「採用したら会社のもの」という観念があり、なんだか個人情報については、インターネットの出現までは放置されていた感があります。

うわぁ、昔の履歴書提出って怖いことだったんだなぁ・・・。

15歳11ヶ月だった私には、免許も資格もなく、志望の動機の正直なところは<貧乏なのでお金が欲しい>だし(笑)、特技もこれといってなく、好きな学科なども無理やりこじつけなければなく、その他のことについては、どうして必要なのかも大してわかっておらず、書いていて父に、「それは書かなくていいよ」と言われたこともあります。何についてだったのか。私があまりに正直路線だったから、なのかもしれません。

今もそんなカテゴリーに入る青少年たちはたくさんいるはずですが、ユニークな独自の履歴書を持っている会社は、あまり見かけない。ネットでいくつか検索してみましたが、英語教師であればその履歴が具体的に書けるようになっているだとか、IT関連ならばできる範疇をしっかり詳細に書くだとか、どんな程度です。あとは、面接でその人となりがわかる、とでも言いたげな・・・。

まったく知らない世界へ飛び込むことが多い青少年たちに、あの履歴書の意義をきちんと話せる人々がいるんでしょうね。ビジネス界でごはんを食べている方々はみなできるとみなしたいところです。が、実際はそうではないのが事実。

それに、履歴書はあくまで自己申請なので、出される側としても額面通りに受けとっているわけでもないのでしょう。たとえば、少年鑑別所や保護観察処分など、書かねばならぬはずのことは、よく省かれているし、私は、履歴書に嘘の学歴を書いた人を数人知っています。年齢なんてもっとたくさん知っています(笑)。もちろん、「書いた」ということが詐欺や詐称の証拠になるので有効ですが、「単なる第一提出物」としては無難なのでしょう。

Sonyはその昔、学歴を書く必要がない応募要項を出して話題になりました。今でも続いているのでしょうか?http://type.jp/p/e/c/3527/ 確かに「学歴不問」ではヒットしました。が、こんな方がこんなことも書いています。http://www.geocities.jp/gakureking/sony-gakureki.html ニュースに出る字面だけを見ていてはわからないものです。興味がある方は読んでみてください。

私は今となっては、学歴を聞かれたほうが都合がいいのですが(笑)、その昔はそれほどでもなく、しかも中退ではなく、除籍になってしまっているので、たいへんにまずい状況でした。が、今のネックは何よりも年齢で、そのことのほうがスルーされる重大要因でしょう。が、おかげさまで、バイトにせっせと応募しても、採用が多く、短期のものなせいか、顔だしをして、世間を見ることができています。けれども、この年齢についても、不問してくださる会社がたくさんあればいいのになぁ、と思わないでもないわけです。

イマドキ、60歳定年は早すぎるし、こんなにも長寿大国になった今、稼げる社会の器を用意せねば、人々は惨めな老後を送ることになります。英語では、引退後の年齢層を、Golden Years黄金に輝く年代と呼ぶのですが、そんなことには、日本ではなりゃしない・・・。本当に一部の人々だけです。養老年金に前々から入っていたとしても、それはスズメの涙くらいにしかならず、介護年金もまた引き上げになりました。詐欺のようですわ、アレ・・・。健康であっても、予備軍として払わなければならず、まったく国庫や市町村から引き出しをしていない人には報奨金制度もないし・・・。健康でまじめでも誰も振り返ってくれないのは、どうかと思う・・・。

なので、履歴書にもこのへんで、数歳のサバを読む高齢者は増えているのではないかと思うのです。どうして、人としての矜持を崩れさせるような社会になってしまったのか、と、ため息ばかりが出てきます。西さんも、48歳ですので、会社がダメになり再就職をせねばならないようなときには、この年齢で大きな障害が出ます。そのために、今、いろいろな作戦を展開しているのですが、どうなることやら・・・。

私は、もしもダメになったときを想定しても、やはり60歳くらいまでが外で雇われるのはギリギリだと思うので、自営の道しかメインとしては頭にありません。西さんは、23年も会社勤めをしていたので、世知辛い世の中に慣れていないのかもしれないところがあります。私は、たくましいし、社会をアテにしてこなかったところが大きいので大丈夫(笑)。

履歴書に嘘を書かねばならないことになる社会は、かなり悲惨です。息子さんや娘さんが有名大学に入学して喜んでいる横で、老齢のご両親が勤めなければ老後のお金がない、と、履歴書に年齢詐称をしていたら?という光景は、簡単にありそうです。NEET問題にしても同じことで、彼らはみな、NEET期間について履歴書には正直には書けないことでしょう。そして、そういう人たちは、日払いや週払いの仕事に慣れていき、ありったけの即金を計画性なしに使うことになっていく生活に慣れていくのかもしれません。

履歴書不要!という会社があるのを知っていたら教えてください♪応援メールでも出したいです。

 

 

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