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日本のよさを再認識している最中に・・・

11/24/2006 にアップした文章です。

 

私が、アメリカ在住が長くて実感してきたのが、日本人で渡米したあとのMulti-cultural への道筋のリズム。もちろん個人差があるのですが、たいていの人が、里心がつき、日本のよさを再認識する。それが1年目から、長い人は2年ほど。その後、住んでいるアメリカ地元の文化に親しみ、そのよさを受け入れて日常化していく。このアメリカもなかなかいいな♪と思っているところで帰国すれば、帰国してからも「いいところ取り」したまま、日本に生まれ育ったことに対する感謝やヨロコビも一段階深くなったままキープ。

コレは、文化心理学での統計学上で、バイオリズムのような曲線を描くのです。

どんな人間であれ、自分が生まれ育った場所とその文化について、好きなところがあることは確か。でなければ、自己(Self)を否定することになり、とてもではないが生きていけなくなる。自分が形成されたのは、その環境であり、その環境を全否定することはできない。死んでしまいたくなったり、抜け殻のようになってしまいます。この小さい環境の例が、いじめによる逃げ場がない感の不登校や自殺などにも現れており、大人であれば退職したり、引越ししたり、ニートになったりするもの。根本としては、ヒトは誰しも自己否定ばかりをして生きてはいけないということです。そして、その自己を作ったのがDNAだけではなく、偶然だけではなく、環境要因であることもしっかり認知しているということ。それが人物であったり(親・親戚・友人・先生・同僚その他)、仕事や勉強の質であったり、エンターテイメントであったり(映画・本・ゲームなどの遊び)、食生活だったり、政治や行政のシステムだったり、と、さまざまな側面があるにしろ、毎日生きていく中で触れ合っている事柄たちです。歴史(継続してきた時空)という軸もそれを強調し、抜け出したいけど抜けられない、そんなものです。ナマミってきついわね♪

文化:(1)〔culture〕社会を構成する人々によって習得・共有・伝達される行動様式ないし生活様式の総体。言語・習俗・道徳・宗教、種々の制度などはその具体例。文化相対主義においては、それぞれの人間集団は個別の文化をもち、個別文化はそれぞれ独自の価値をもっており、その間に高低・優劣の差はないとされる。カルチャー。(2)学問・芸術・宗教・道徳など、主として精神的活動から生み出されたもの。(3)世の中が開け進み、生活が快適で便利になること。文明開化。(4)他の語の上に付いて、ハイカラ・便利・新式などの意を表す。

これまで、18年半アメリカ暮らしをし、その間日本に1年3ヶ月と、今回戻ってきて2ヵ月半経ちました。私は明らかにCounter-culture shock(逆カルチャーショック)の洗礼を受けており、またもやいろいろなことを学習しているところです。もー、身体の具合は悪くなったりするし、心も閉塞的になったり、子どものように「知らないこと」が多くてげんなりしたり、と、まるで18年半前にアメリカに渡ったときのようです。

ここで大反省なのは、「事実と違った日本の悪口を言うステージ」にいないか?ということ。文化心理学では、1年目(初期)には、それまで居た環境を好み、懐かしく想い、ホームシック現象に見舞われます。実はねぇ、私はアメリカに渡ってもまったくのところ、ホームシックを経験した記憶がないのよ・・・。日本のよさについては、大いに再認識し、授業にも使い、友だちになった人たちにもやたらと自慢モードで説明し、和食が最高の贅沢と想いながら暮らしていたのですが、「戻りたい」とは思わなかった。まったくのところ思わなかったのです。むしろ、文化を共有していたはずの日本で、日本人の中に混ざり、それでも共感意識を得られず、理解をされないことのほうがずっとさみしかった。アメリカでは、「共感されなくて当たり前、理解されなくて当たり前」のところに、共感してもらえたり、理解してもらえたりしたことが、グリコのおまけ化したわけです。

いやー、しかし、数年くらいは、留学生でも駐在員でも、「アメリカと日本の違い」をやたらと語る座談会飲み会のようなものが多く、そのアメリカバッシング傾向やら、日本バッシング傾向に、私はうんざりしていましたね。私はサイドを取るつもりなどハナからなく、どちらがいいだの悪いだの、というスタンスではない・・・。個人差のほうがでかいと思っているし、私自身がオリンピック選手のような日本人代表でもない。ゆえに、私がアメリカで知り合った人々もアメリカ人代表でもない・・・。こんなに広大な土地と、地域での差がでっかい文化に対し、決め付けをする愚かさに、たいへんに醒めていました。カリフォルニアですら、日本がすっぽり入ってしまうくらいの広大さ。移民が多い。文化がごちゃごちゃ。そもそもアメリカ人って誰たちのことよ?と、「アメリカと日本の違い」バッシング傾向座談会では、うんざりすることのほうが多かったわけです。

たとえば、日本に伝わっているアメリカは、「裁判で何でも片付ける訴訟大国」。コレは地域誤差があるってば・・・。特記するような出来事は当然起きています。泥棒が盗みを働いている最中にプールに落ち、民事のほうで損害賠償を勝った例は、事実あります。マクドナルドの熱いコーヒーで2億ってのもありました。でもねぇ、みんながみんなそうじゃないから・・・。日本で「俺オレ詐欺」をやる人口に似たりよったりだと思うの。確かに法の網の目を潜り、賢く生き延びていく方法を選んだ人たち(プロである弁護士も含め)は、確実に存在します。けれども、それがアメリカ社会のすべてではないですもん。少なくとも私がつきあってきた人たちの裁判経験は、「切羽詰った状態に追い込まれたから、やりたくなかったけどしょうがない」だったり、「詐欺に遭ったまま黙ってはいられない」だったり、至って平均値の考え方でした。珍しいからニュースになるってこと、まず覚えておいたほうがいいです・・・。

「アメリカは歴史の浅い国だから考え方や文化も浅い」などというバッシングもすごかったですね。そう言い切る人々のほうがずっと浅はかだろう・・・(汗)。原住(これは正確な表現ではないと思うが)していた、Native Americans(日本で昔言っていた、インディアンやエスキモー)が記録しておくことが不得意だったからという理由で、主流文化から逸れているという理由で、それらが存在しなかったことにするのは、まったくおかしい・・・。移民してきた人々も、移民史をちょっと紐解けばわかることだし、自分たちも日本でのあれこれを背負ってアメリカに住まわせてもらっているわけで・・・。同じだろ・・・。スコットランドから来ようが、イタリアから来ようが、プエルトリコから来ようが、みんなそれぞれ自分の生まれ育ったところの歴史や文化を持ち寄ってきたんだよね。The United States of Americaという国の建国からこっちは確かに短いかもしれない。けれども、そこに実在する文化やモノの考え方の多様などは、やっぱり深い。しかも、日本人で漢字もロクに書けなかったり、マナーもロクに知らないで振舞ったりしている人たちが、アメリカバッシングしているのを見ると、へそで茶を湧かせちゃいますね。私は、英語学校に入って2ヶ月目に、広島・長崎原爆投下についての意見を聞かれ、英語で話せなかったので、夜、悔しくて泣きました。遠い異国で、原爆についてを考えている大学生がいるのに、日本で起きた歴史について意見を持たない人々も事実いるではないですか。

やっぱり国バッシング・国が持つ文化バッシングは醜い・・・。

なぜなら、生命体はいつか必ず死んでいく。どうしようもない、避けられないことです。だからこそ、人は生きた証を残したいと願い、愛した人々の胸の中で長くいき続けられるよう、日々がんばっているわけです。その人々の想いを、誰がどんな顔して否定するんだか・・・。さらに、日本を脱出し、異国に長く住むことを決意した裏には、自分の夢をかなえたり、愛する人といっしょにいるためだったり、と、目的があるはずです。その国や文化の悪口三昧をしているようでは、叶う夢も叶わないし、愛する人が生まれたり育ったりした国とその育まれる文化を悪く言うのを聴くのは、愛する人も悲しいことでしょう。

本当に根拠のある「比較」「考察」「論評」をしている人を、私はめったに見たことがありません。まずは自分が「ホームシックステージ」にいることを認めることかもしれません。自分とそれに必ず付随してくる国や文化を上に位置させ、今自分が不満に思い、苦い想いをさせられている異国とその文化の悪口を言うことで、なぜか優位に立ち、自分のSelf-esteemを上げようとしているのではないか?気づいていただきたいところです。

これらもすべて、カリフォルニアに長年慣れて愛し、自分に取り入れてしまったことに対する未練が言わせており、私も自戒せねばならぬことがたくさんあります。論拠のない日本バッシングを私がするようであれば、ぜひぜひ、お咎めください(ぺこり)。

 

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