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統計になる不快感(1)

06/21/2006 にアップした文章です

いやー、避けられることではないのですが、あからさまに統計学に参加していることになっていると、なんとなくむっとしますな(笑)。とは言うものの、私も社会科学をやってきたので、他人様を統計学で見ることは多いのです。その後、後ろに下がってじっくり眺めてみて、個人としてのあらゆる軸をさらに加えて多元化して、人全体を見ていこうとする努力は惜しまないようにしています。

統計学をきちんと習ったことがないにしても、人々は「比較」「傾向づけ」という統計をいつも使って暮らしています。それは避けられない運命なのですよ。生命体の造りがそうなってしまっているからです。何度も言うようですが、体温は差を察知するためのサーモスタット方式。視力も色や影の差を認識することによって成り立っています。ホルモンにしろ、脳内ケミカルにしろ同じこと・・・。当然、他のことに同じ方式を当てはめても、誰も何の咎も見出すことはできないのです。

が、その統計学がしっかりしたものであるかどうか?は常にチェック機能を働かせることはできます。私が在米生活を始めて「大損だよな、コレ・・・」と思ったのが、やたらめったらと日本人が口にする「アメリカ人は○×」「フランス人は○×」というようなもの。日本人全体でもバラエティがあることは、明らかすぎることです。だのに、他国の人には使うのね・・・。「日本人は魚臭い」と言われて、魚嫌いな人は当然反論があることでしょう。前後の内容にもよりますが、証拠のない統計学ほど不毛なことはありません。尤もらしく聴こえるマジックで、事実を伴わない虚無なものです。

たとえば、「30歳を過ぎて独身の女性は、キャリア志向である」「AVをたくさん収集している男性はセックスが下手」「子どもを持っていない女性は母性が弱い」「仕事をしたことがない人は常識に欠けている」などなど、本当に統計学を使った話術はたくさんあります。本当なのかどうか?を確かめてみたことがなく、それでも不快感を持たず、自分もバンバン会話の中や思考で使っている人々は気をつけたほうがいいです。

以前、AOLの掲示板で、「間違ったステートメントではないけれども、統計学的に多いだけですべての人々に当てはまることはない」という説明をするのに、ベルカーブやその他の図形を持ち込んでいた投稿者がいました。比較分布図の中の正規分布というのが日本語なのでしょうか。たいていすべての現象は不思議なことに、およそベルカーブの形となります。ベルカーブについての説明どうぞ♪↓

正規分布

特に数学や統計学そのものがわからずとも怖がることはありませんや・・・。σやμなどの記号は便宜上つけてあることであって、いくらでも言葉で説明できますし、統計学がわかる人であれば、6歳の子どもにもわかるように説明できなければあまり意味がありません。数学が嫌いな人がこんな説明を真剣に耳を開いて聞いてくれると勝手に前提するのもよくないことです。具体的に行ってみましょう♪

「歯医者さんが使っている歯ブラシ」というCM見たことはないでしょうか?これを使って説明していきます。

まずは、統計学のお約束大前提がひとつあり、「話していることの人口を規定する」というのがあります。先ほどの例で言えば「日本人・アメリカ人・フランス人・ペルー人・・・・」になります。この場合、歯ブラシを使う人々全体が「全体人口」、その中で「歯ブラシを使う歯医者さん」がサンプル人口となります。特定の文化を除き、歯がある人々はみな歯磨きをしています。なので、大きな図柄として考えねばならぬのは、「すべての歯磨きをする人口」。が、CMでは「この歯磨きはいかにいいものなのか」をアピールするために、「歯医者さんが使っている歯ブラシ」と謳っています。なぜなのか?プロが自分にも使う歯ブラシならば、いいに違いない、と思わせるためですね・・・。

最初に、この「歯医者さんとは誰なのか?」を考えなければならないのが正確な統計学です。なぜならば、その統計が正確なものであるためには、ひとつの大きな絶対条件があるからです。これが一般論・人々がよく口にする「論理」には大きく欠けているものです。

無作為抽出:特別な意志をもたないで、母集団から標本を抽出すること。任意抽出法。ランダム-サンプリング。http://www.pref.saitama.lg.jp/A01/BP00/faq/q11.html (絵がついていてわかりやすいかも)。基本的には、偏りのない偶発的な、あるいはシステムに則った選び方をすることで、偏りのない人口を選ぶことになり、母集団のサンプル(この場合で言うと歯磨きをする歯医者さんすべて)にも、偏りがないことを反映させることができます。

暮らしの中での特別な傾向について、人々はあまり深く考えることをしません。慣れの問題ではありますが、自分の風景が「偏っているかもしれない」と認めるのはなかなか難しいことです。この無作為抽出=ランダムサンプリングができていない統計は、もうそこですでに間違った数字なわけです。たとえ数字でも、ボタンの掛け違いになり、証拠として弱いものになっていきます

歯ブラシのCMに出た歯医者さんは、本当に無作為に抽出されているのか?CMを見た限りではわからないわけです。どんなふうに歯医者さんを集めて、そのどのくらいの割合が、そのブランドの歯ブラシを強く推薦しているかわからない。ひょっとすると、その歯ブラシ会社に歯ブラシを無料提供し続けてもらっている歯医者さんばかりなのかもしれない。他の歯ブラシを使ったことがないからそのブランドの歯ブラシを使っているだけなのかもしれない。比較などしたことがなく、意図的にその歯ブラシを選んだわけではないのかもしれない(お母さんや奥様が買い与えているだけとか?)、歯医者という名前はついているにしろ、もう歯医者は第一線でしていないかもしれない。などなど、いろいろな誤差が芽生えます。しかも、歯医者といえども、審美歯科やクリーニング専門、虫歯や矯正専門などに分かれ、いろいろな意見があり、細かいことは何もわかりません。

が、CMではもっともらしく聴こえる不思議な音色を持ちます。ネットサイトでいくらでも不思議な統計を出して、魅惑のセールスをしているところがありますが、コレについては個人攻撃になるのでやめておきます(笑)。騙されないようにね♪あー、簡単な例で言えば、映画のセールス文句で「全米が泣いた・震えた」とかいうやつです。全米がどうやって泣くんだか(笑)。映画館などに行けない貧民層もいれば、映画そのものに興味がない人口もおり、映画館が町に1個しかないところに住んでいる場合、すべての映画が上映しているわけもなく、んなわけないですから・・・。

ちょっと前まで参加していた掲示板で、ものすごくひどい意見を平然と書きのけていました;障害者の母親は自分の子どもを「障害者」とは呼ばない。個性と呼ぶ。自分の周りの障害者の母親はみんなそうだったので、あなたが障害者の母親だとは信じがたい。というような内容でした。

いやいや、ちょっと待て。自分の周りってだけで、もうランダムサンプルになってないって(爆)。障害の重軽度・障害の種類・障害者の年齢だけでも誤差があり、さらに、外に出て話をする積極性がある母親と介護に忙しい母親とはまた次元の違う見方も出てくる。さらに、個人が生まれ育った環境で、語彙に対する感性が違うのも然り。

こんなことを「証拠」として持ち出す人は、本当に多いわけです。証拠とするならば、必ずランダムになっているかどうか?はきちんと考え、サンプルの集団やすべてを統括する母集団との数字的センスは考えたほうがいいです。そういった悪意がなくとも、考えなしの比較にて、勝手に統計学にされた人々は不快になるわけです。

長くなったので明日に続けます・・・。

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