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自殺対策法案

2006年5月16日にアップした文章です。

日本の自殺は多くなっており、コンスタントに年間3万人を超えるようになってしまいました。

日本の自殺についての統計あれこれ

世界の統計です。人口比率と比べてあるので総計ではないことにご注意。

まずは自殺についての基本を知りたい方は、このサイトをざらっと読んでみてください。かなりためになります。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%87%AA%E6%AE%BA

注目すべきなのは、「自殺が多いのは、経済福祉などが充実しつつも、国民の心の空疎がたとえようもなく埋めがたいとか、西欧の経済文化をすぐ隣に目の当たりにしながら、それに手を伸ばすことが出来ないといった絶望的な状況にあるなどの国々である。とりわけ、個人の生き方よりも社会に重点が置かれる国家において多いと思われる。」というくだり。日本の社会形態については、さまざまなことが言われていますが、「資本主義を採りながらも、実際は『社会主義』である側面を持っており、追い討ちをかけるように文化的な全体主義が日々のメンタリティに大きく影響している」ことは、注目に値します。

社会主義: (1)資本主義の生み出す経済的・社会的諸矛盾を、私有財産制の廃止、生産手段および財産の共有・共同管理、計画的な生産と平等な分配によって解消し、平等で調和のとれた社会を実現しようとする思想および運動。共産主義・無政府主義・社会民主主義などを含む広い概念。(2)マルクス主義において、生産手段の社会的所有が実現され、人々は労働に応じて分配を受けるとされる共産主義の第一段階。

極端な共産主義ではないにしろ、日本の法制はまだまだ、平和で貧困に喘いでいた当時のものを改正していない法令が多く、財産分与や性差、職場、民事の判例など、「え?」と声を上げてしまいそうになるほど時代に即していないものがまだまだたくさんあります。家一軒の値段が数千万の昨今、交通事故で就労不能になろうとも、その倍額近い保障がもらえない事実は不思議です。この数字の壁ひとつを見ても、「健全な資本主義路線」にはまだ乗りきれておらず、裁判は判例を重要視する裁判官の裁量を問われるものになっており、ニーズに合致しないことが多くなっています。このような「社会に対しての不公平感」は、社会主義傾向を根ざしており、「懸命に働いてもそれに対しての保障は国家が持ってくれない」という不満に至ります。

逆に、まだまだ貧困や教育不備による社会のピラミッドの底辺にいると感じている人口は、「資本主義・民主主義」という名の下に機能しているはずの国家に、あるべき分け前をもらえていない不満感があります。Social Ladder(社会階級の階段)を登るための機会がそれほど多くない現実に絶望し、行き場のない想いをいつも感じていくことになります。が、物質文化がここまで発達した環境の中では、比較から逃れることはできず、脂の皮膜がねっとりと付着しているように、社会そのものに対しての信頼感は生まれません。「やり直すこと」など、到底できそうにない絶望感を持つことになります。

当然、税率を増やし、北欧のような福祉国家を目指すことも可能ですし、徹底したアメリカのような資本主義国家を目指すことも可能なのですが、日本の政治はどちらを目指しているのか、まったく方向性が見えてこない曖昧な指針しか出していません。敗戦後からずっとのらりくらりしてきた感は否めません。

そんな中、比較的移住が簡単な地域に、脳流出現象が起きており、過去30年、かなりの数の優秀で勤勉な日本人が日本を見限っています。移民史を見てもわかるように、移民することしか生きる手立てがなかった働き者の農村地区の人々も、ブラジルやペルー、アメリカなどたくさんの地域に飛び散っています。少子化が顕著になる以前から、日本の国民に優しくない傾向は、トレンドになるほどに明らかだったわけです。

そして、それでも日本への愛国心を以って粘った人々にも報償が与えられず、昨今の自殺傾向は、働き盛りを少しだけ過ぎた年齢層の男性が恐ろしい数に増えています。自殺のトレンドは、「成長する過程で混乱しすぎたティーン」と「老い先短く持病が増えた老齢層」が固定だったはずなのですが、日本では「一生懸命家族のために働いてきた男性たち」が、先が見えてこず、絶望にどっぷり浸かり、確実な方法を選び、自殺に成功する傾向が増えています。そこに、労災保障などが適応されることも、率としてはまだまだ少なく、社会の成り立ちを疑問視する声が増えてはきましたが、対策の具体例はまだまだ実現化していません。

2006年になり、やっと、ここまでたどりつきました; 検討中の法案は基本理念として、自殺は「個人的な問題としてのみとらえるのではなく、その背景に社会的な要因がある」と指摘し、社会問題と位置づける。そのうえで、国と自治体に「自殺防止対策を策定し、実施する責務がある」ことを条文化する。さらに政府に対しては、毎年、国会に政府が行った自殺防止対策の実施状況に関する報告書の提出を義務付けることとしている。

では、具体的に今後数年ほどで、何かが劇的に変化するのか?それまでにあと数万数千人ほどの命がまた消えていくのか?

男性は、月曜日に自殺することを選ぶ。これはうなずける傾向です。もう新しい週をやり過ごしていけない、というギリギリの絶望感をよく顕しています。職業別では、管理職・保安職業・運輸通信職業従事者がトップ3になっています。特に、飲酒が自殺へのPrecursor (前兆)になることが多いので、働き盛りを過ぎた人々の日常になっているのは避けられないかもしれません。社会に適応していくために、ストレスを軽減するために、リラックスするつもりで飲むお酒が、習慣化し、量が増え、すっきりした考え方をさせなくするかもしれない率を高くすることは否めません。

どんな自殺であっても、悲劇は比較できず、どれも同じようにつらいものです。が、コレだけ数値的傾向がわかっていながらも、誰も何もしないことは、恥ずかしいという言葉を超えたもののような気がしています。私たちができることをまず始めていますか?ちょっと気になった言動をやり過ごさない。母の日だけではなく、父の日も祝う。感謝の気持ちを表す、などなど、できることはたくさんあるのでしょう。

私が最初に友人に自殺されたのは、16歳でした。混濁した思考の中、生き延びていく道を選べなかったのか?と悔しくありましたが、私に前兆が見られなかったために、「お茶を飲みに行こうぜ」と言われたことを断ったことが未だに心に引っかかっています。バイトだったのですが、以前にも数度断ったことがあったのですが・・・。

とにかくこの法案が、スムーズに短期間で実現化することを、心から祈っています。

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