Jan 9, 2006 に書いた文章です。
ほぼすべての彼の著作は、映画化かTVドラマ化かTV映画化されています。数本を抜かして、だと思います。私も市場に出ているものはすべて見ていると思われます。有名なところでは;
Shining/Green Mile /Creep Show /Carrie/ Firestarter/ Stand by Me/ Pet Cemetery/ Misery/
Shawshank Redemption/ Cujo/ Cat’s Eye/ The Dead Zone
などなど、半分も書きませんでしたが、すごい数です。ホラーではなくとも、「ありえないかも、ありえるかもしれない話」で、Green Mileや Shawshank Redemptionはとても売れました。ずらーっとネットで検索してみると、私はやはり映画化されたものは9割くらいは見ており、原作も4割くらいは読んでいる感じです。
彼は自分の映画に出ることでけっこう有名ですが、見たところ、なーんでもない背が高いだけの(190cmあります)、本当に平凡な人に見えます。出身地(Maineメイン州)では、彼のおかげで観光収入が上がっており、スティーブン・キング様様なのです。Bill Gatesほど稼いでいないとしても、いったい彼の資産はどれくらいあるのか、想像できない数字なんだろうな、と思います。それでも長者番付のものすごい上位に乗らないのは、いい監査士・税理士がついていて、会社や業務や形式をいくつもに分けているのでしょうね・・・。
1947年生まれですから、彼はまだ59歳に今年の9月になるところ。小説のような本当の話なのですが、彼の父親は、彼が10歳のときに「ちょっとタバコを買いに行ってくる」と出かけて、それきり戻ってこなかったのです。すごい生い立ちだなぁ、と思う。こういう逸話は今でもたまに映画の台詞で使われるのですが、本当に戻ってこなかったとは・・・。
彼は高校在学中から小説を書き始めますが、最初にお金になったのは、20歳をちょっとすぎてからです。わずか35ドルでした。当時の換算だと、一律$1=360円だったので、12600円ですね。メイン大学に行き、ガソリンスタンドのアテンダントなどをして生活を支え(お父さんがいなかったので超貧乏だった)、英語の学位を取り卒業します。
1971年、卒業前の1月に結婚し、卒業したのち9月から教師の職に就きます。年収はわずか230万。(私が小学生の頃の父の年収と似たりよったりです。アメリカは裕福な国でしたからその差を考えるとかなり低収入です)。そして、1974年春に25歳で作家デビューを、Carrieで果たします。その年の5月に、彼の印税をギブアップした収入は、20万ドルでした(当時のお金で7200万)。売れるか売れないかわからなかったので、著作権を出版社に売る形にしてしまったわけです。が、その金額は充分なもので、教師職をそそくさ辞めて、著作家一本の生活に入ります。それからあとのことはもう歴史となっていますが、ものすごい数の作品を生み出し、それがほぼすべて映画化されており、世界で33個言語で出版されています。今後増えていくのでしょうか?
私が英語で最初に読んだ作品は、The Body の中に収められていたStand by Meなのです。ものすごい時間がかかりましたよ(笑)。ホラーの大作家だとは知っていたのですが、映画が1986年だったので、英語学校にいるときにビデオで見せてもらったのです。原作は3つか4つほど収められているうちの1つで短いものだったので、初めての英語の先生だったMaryに本の買い方を教えてもらい、さっそく中古品を買ったのでした。映画でも最後に泣けてしまったので、原作では、読み終わったうれしさと映像が重なって、やはり泣いてしまいましたね。
私はありえない話は信じないのです。スティーブン・キングの作品の中でも、モンスターがたくさん出てくるものは笑って見ています。ほぼコメディと同等の扱いになってしまうのです。ではなぜ見るか?というと、彼なりの人間の奥底にある暗さ・汚さ・悲しみなどが垣間見えることがあり、その瞬間を求めて見るのですね。
が、ありえそうな話はかなり「あるだろね、こういうこと」と信じますね。たとえば、ネコが飼い主を守るために子どもを狙う悪霊(これはいるんじゃないかと思うのですが、私には見えないですからねぇ)と戦うとか、超能力があり火を起してしまいコントロールが利かない子どもがいるとか、処刑をイヤイヤやってきた刑務官が生命の不思議に遭遇するとか、ありえる話なので、見ていて楽しいです。
ホラーではない話で、まったくありえるだろうと思う中に、Dolores Claiborneがあります。日本にも行っていると思いますが、Kathy Bates, Jennifer Jason Leighが主演です。父親に幼い頃、性的虐待を受けていた娘を守るため、母親は誤ってか計画的にか、父親を事故死させてしまいます。が、幼い娘はその記憶を消してしまい、母親が父親を殺したものと大人なって母と絶縁してしまうのです。ある日、母親が殺人の容疑を受け、娘は本当に久しぶりに実家に戻っていくのです。久しぶりに母と語らう娘に、子どもの頃の記憶がだんだんとよみがえってきます。時間軸が過去と現在で入れ替わり、謎解きとしてもかなりおもしろい作品です。女同士の友情もからめ、女が生きていくのはたいへんだという田舎のアメリカをよく描いています。その中の台詞で私のお気に入りは;
“Sometimes you have to be a high-riding bitch to survive.
Sometimes being a bitch is all a woman has to hold onto.“
(生き残っていくためには、ときどき、女は高飛車なビッチでいなくちゃならないのよ。時として、ビッチでいることだけが、女がしがみついていられることなの)
Bitchというのは、いわゆるメス犬のことで、Harry Potter 3にもまさしくその意味で出てきましたが、人をさして使う場合は、とてもイヤな蔑称で、女性を特に指します。イメージとしては、意地が悪く、相手に有無を言わせない感じです。人が怖がる、恐れる、近寄りづらいなどの含蓄があります。
私はこの映画を見てから、Bitchと呼ばれるのは光栄だな、と思うようになりました。特に誰にでも近寄られて、相手に勝手に「こういう人だ」と推測されたまま会話が進むのも迷惑ですし、つきあう人は数ではなく質なので、外見偏向重視の人ならばきっといつか破綻が来るでしょう。今でも両手を広げて誰でも迎え入れると思われるのはイヤなので、かえってBitchだと言われたほうがラクですし、光栄です。ある意味、自分にバリアが張ってあったほうが、緊張感があっていいのです。時間をかけて理解しようとしてくれる人たちにのみ、私の心は開く仕組みになっています。
というわけで、ホラーではないStephen Kingもけっこういいものがたくさんあります。今までホラーだから、と見なかった方々、ぜひチェックしてみてね♪
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