12/11/2006 にアップした文章です。
その時々によって人の気分は変わっていくと思います。四六時中、自分とつきあいのある人間の調子について耳をそばだてていることはできません。かと言って、会えたり、メールや電話などの通信手段でふれあいが持てたりしたとしても、相手の状態を把握するのに、いちいち細部までの質問攻撃をするわけには行きません。そこで簡単なのが、「今イチバン・・・?」という合言葉的な質問。
私は母には、「今イチバン何が食べたい?」というのが使えています。彼女が「何も食べたくなーい」というのは、危険極まりない信号で、何か心に大きな重石が乗っかっているか、身体全般の調子がよくない証拠です。「お寿司」と答えるときは、平常で(何しろ、彼女の「最後の晩餐」はお寿司と決まっている)、イタリア料理のときにはいつもと違うことに冒険できるくらいにゆとりがある証拠。中華のときには胃もたれなどがまったくなく、普段はない複数の人に混じって楽しく話しながら食事を楽しめる準備がある証拠。などなど、食べ物は、彼女の調子を測るためにはたいへんにいいツールなのです。たかが関節炎でもなく、膝が痛いのは気分を相当に左右します。誰しも弱点や安定した側面や、リズミカルな面というものはあり、どんなに気難しい人であっても、こうした「今イチバン・・・?」という質問を考え付くのは、つきあう自分にとって、かなりな武器ですよ♪
母が原始的だというのではなく、母にはここ2年の日本-台湾-アメリカでの行ったり来たり生活で、食生活も含めた日常をいっしょに過ごしたし、ここ3ヶ月は毎日いっしょにいます。そのせいで、私のほうが最も簡単なバロメータとして使えるのが、食べ物なのですね。
西さんとは離れて暮らす時間が多かったので、「今イチバン・・・?」は、彼が見せる疲労度によって変わります。元気いっぱいなときには、どのスポーツをやりたいかでかなり調子がわかります。身体的なものはもちろん、心理的な部分もね。「山に行きたいなぁ」と漏らすときに、「今イチバンどこの山に登りたい?」と聴くだけで、彼のゆとりの度合いがわかります。言葉が足りない彼のことですので、「(時間にゆとりがないし、季節が外れているし、来週はミーティングがあるし)行けないんだけどね」という( )の解釈もできるので大丈夫(爆)。「谷川に行きたいねぇ」「玉山に登りたいねぇ」くらいでだいたいの気分がわかるのです。他にも、読む本でも彼の機嫌や心理状態や最近何を考えているかはわかるので、けっこう便利です。今読んでいる本は手に取っているのでまったく把握中なのですが、「ねね、次に図書館行ったら何借りる予定?」と、実物を手にしていなくても、今の本により連想ゲームをしていることは確かなので、とりあえず聴いてみます。それによっていろいろわかる・・・。食べ物や飲み物でもわかるんですが、西さんには物事によりけっこう対象物があるので、楽しく便利に使わせてもらっています。
他の友だちや知り合いに対しても、「今イチバン・・・?」をよく作用するように使っています。
・ どこに行きたい?
・ 何が欲しい?
・ 誰と会いたい?
・ 何がしたい?
・ 何に凝っている?
・ 誰に注目している?
・ 何が足りないと思う?
などなど、キリがないことですが、詳細にいろいろを話す時間がなかったり、長い時間いっしょに居られるとしても、それまでブランクがあったときにどこから手をつけて話そうかな、と思ったりしたときには、こうした質問はなかなか便利です。
そもそも「今イチバン・・・?」と自分のイチバン状態を的確に捉えている人などいないのではないか?という疑問を持つ方は多いと思います。そうです、そうです(コレ、横溝正史の小説で、等々力警部と金田一耕助がけっこう連発するんだよなぁ)。けれども、たとえイチバンではなくとも、その与えられた時間に「考えた事実」であることは確かです。嘘や心配をかけまいとする配慮が入っていたにしろ、それはジェスチャーや表情でおつきあいのある人ならわかるある程度のヒントがあります。その質問そのものに答えられない事情があるとしたならば、それはかなりシリアスなことなのか、人間関係としてのふたりの間柄に疑問を持ったほうがよさそうです・・・。
「今イチバン・・・?」が割合といつもはっきりしている性質の人もいますが、たいていの人はそうではないようです。私は、かなりいつもはっきりしています。自分の状態を把握していることが好きなのでしょう。In Control;自分全体をコントロールしている状態にある、ことが、ある意味日々の目標になっています。仕事だけではなく、読書にしろ、食事にしろ、睡眠やアメリカに残してきたネコたちのことにしろ、いろいろを計画通り、目標通りの状態にしたいというのがあり、自分でやる範囲のことで手落ちがあることがどうも我慢ならぬのです。疾病をいくつか持っていると、そのせいでそんなささやかな当たり前の日常が脆くも簡単に崩れてしまうことも、身に染みてわかっており、どこか大げさにIn Controlにこだわるのかもしれません。たとえば、椎間板がない身では、ひどい腰痛が続くと寝たきりになってしまうことも多く、他のほぼすべてがストップしてしまうことになり、自分でタバコ1箱すら買いに行くことができず、周りに多大な迷惑を掛けるのです。何もしないで寝っ転がっているよりは、病院に行ったほうがいいのですが、それも人の手が必要です。そんなになるまで痛みを我慢できてしまうので、これまでも結果的に西さんには迷惑をかけてきました・・・。以来、自分の状態を常に把握していることは、もう私にとっては義務ですね。PTSDからこっちは、拍車がかかりました。
今イチバン行きたいところは、父のお墓参り。静岡市からタクシーで10分ほどのところにあるのですが、西さんが台湾にもう一度年内に行かねばならず、年の瀬も迫っており仕事の稼働日数が少ないこともあり、決められないでいます。こちらに戻ってから、9月のお彼岸に弟が一家で行ってくれたので、卒塔婆も頼み、掃除やお経は一応安心してはいたのですが、どうも自分の心の中がすっきりしません。師走はやめにしておいて、父の命日である1月31日に行けばいいというのが、尤もらしい案なのですが、私のおしりはどうもむずがゆい・・・。
今イチバン食べたいものは、分厚いステーキだよぉ。日本の霜降り肉ほど上等じゃなくていいんだ。アメリカのUSDA Choice, Angus Beefクラスのフツーのやつでいいの。あのフィレミニヨンは、200g弱でたったの1000~1500円くらいなんだから・・・。日本に戻ってうれしいのはお魚三昧できることなのですが、お肉が高すぎるのでかなりさみしいです。
でも、人にはいろいろ「今イチバン・・・?」を聴くくせに、自分はあまり聴かれたことがないぞ、と改めて思います(爆)。私はいつも平常心で心配の種でもなく、私の嗜好などはかなりどうでもいいことなのかもしれません・・・。ああああ、ネコたちに会いたいよぉぉぉぉ←これが私の今イチバンの塊です。
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