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赤ちゃんが置き去りに

02/03/2008 にアップした文章です。

赤ちゃんポストどころではなく、救急車たらいまわしでもなく、実際に分娩室に入り、出産しても、赤ちゃんを捨てる親が増えているというのは、アメリカ化だな、と、20年前のアメリカを思い出しています。私は、男女は簡単に結婚というコミットメントをする前に、Co-habitation(いっしょに住む:同棲)をしてお試し期間を設けるのがいいと、常日頃言っているのですが、それは家庭ごとの親御さんたちの考えや家風や事情で、難しい場合もあるのでしょう。しかも、そのコミットメント前時代には、子どもを<事故で>作ってはいけないと思っています。経済的自立をしていなければ、子どもは育たないのですから。「できちゃった結婚」をすることを否定するのではなく、タイミングの問題であれば、「できちゃった結婚」大いにけっこう♪経済的自立と、精神的自立への突破口が見えていないうちに、子どもが子どもを産むような社会形態には、もう日本はないのです。

核家族化の前、まだ人々が祖父母・父母・子ども+α(父母の兄弟や姉妹など)と住んでいた頃には、その父母の兄弟や姉妹などが、家事の分担を請け負ってくれることもあったりして、きっと子どもが子どもを産んでも、経済的にも精神的にも、赤ちゃんが育つ環境を整えることは可能だったのでしょうが。そこにもうひとり、マスオさん的な存在が増えても平気だったのでしょうが。今、核家族化が進み、結婚前に家を出て、欧米化した家族スタイルへと移行した日本の社会では、年齢的には大人になっても、子どもが子どものまま、経済的自立も済ませぬうちに、精神的自立のきっかけや突破口も見えていないうちに、子どもが「できてしまう」ことが増えています。

ここでなぜなのか?を考えるのはけっこう有意義。

私が20年前に行ったアメリカでも、子どもが子どもを産むことが増えていました。アメリカがひとつだけ救われていたのは、『養子システム』が社会的に確立していたことで、未婚の母は、堕胎が許されない宗教のバックグラウンドから、臨月を経て、出産をし、授乳をするかしないかは別にしても、養子に出して、また昔の暮らしに戻るティーンエージャーがたくさんいました。英語学校にいたアメリカ人は、「それなりに裕福なカトリック大学のキャンパスに通うか寮生活をしている人々」で、たまに、キャンパスに紛れ込んでくるアジア人フリークのへんなドイツ系アメリカ人と知り合ったり、苦学で学校を続けていたDouglas(その後、紆余曲折あり、筑波大学で学位を取り、医者になりました)に出逢ったりしたものの、高校生やティーンエージャーの実態にはまだ遠いところに居ました。

日本語を教えてくれと頼まれた(実は英語学校の先生が、私の「やばい!ガソリン代が高騰した!」というのに反応して、アルバイトとして見つけてくれたのですが・・・)家庭は、University of California San Franciscoという、ゲノム調査の腸部門を請け負った名門の、放射能の教授で、ものすごい家に住んでおり、お母さんもファッション界で働いており、典型的な金持ちでした(笑)。子どもたちは、その割りにはしっかりしており、贅沢なバーベキューセットや、プールや、ピンポン台はあったものの、人工的遊びというよりは、スポーツや自然の中での遊びを大切にしていました。

その後、航空学校に行って最初に出会ったティーンエージャーは、なんと、砂浜に野宿をしていました。妊娠7.8ヶ月だったんだろうなぁ、今思うと。飛行機学校は、Oakland International Airport内にあり、サンフランシスコ湾を臨んでいます。その近所のビーチで、無線の聴き取り練習をしていたところ、夕方になるとぐんと冷える砂浜に、野宿をしている少女がいたんですよ。家出してから、彼氏が友だちと住んでいるアパートに転がり込んだのだけれども、ケンカをして追い出されたということだった。私には、招待する家もなかったし(西さんといっしょに住み始めてはいたのだけれども、しかも、その子は私については来ないだろうとも思ったし)、翌日、いろいろ調べたあとにまたそこに行ったら、彼女はまだ居たのです。

調べた結果、アメリカでは(もしかするとカリフォルニア州では、かもしれない)、未婚の母には手当てが出て、お金がない場合には、安心して赤ちゃんを産めるシステムがあるということ。いわゆる、生活保護の管轄だったのですが、自分で育てられない場合には、養子縁組までしてくれるようだということを、アメリカ人に聴いて、そのパンフレットと電話番号を手に入れて、私は翌日、彼女に渡したんですね。タクシー代として、20ドルをあげて。

私はその追跡調査は一切しませんでしたが、どうなったか知りたくもなかったのかもしれません。赤ちゃんの行方も知りたくなかったし(彼女が生み捨てるのであれば、なんだか知りたくもないし、彼女があの状態で倖せに育てることができるのかもなんとなく諦観があったのです)、今後もたくさんのこのようなことを見ていくのだろうという第一歩だったのです。

そして、予感は的中し、タイプを習い始めたとき、アダルトスクールでは、1クラスにひとりは、おなかの大きいティーンエージャーがいました。高校を卒業できないとわかると、昼の学校に行かずに、夜のクラスを取る。志は買いたいです。手に職と考えて、いろいろなVocational courses(職業に繋がるクラス)を取っていたのですね。

1ヶ月にもらえる手当ては、当時、日本の倍以上の金額だったと思います。

ただ、悲しかったのは、そういった情報すら知らずに、産み月まで隠しておいて、ゴミ箱に捨てられる赤ちゃんも多数居たということ。キャンペーンは成果をあげて、赤ちゃんポストにまで発展したのですが、そして赤ちゃんポストに反対する人はどんどん少なくなって行ったのですが、低年齢化した初産は、ストップしたわけではありません。

そして20年後。日本でも同じようなことが起きているんだなぁ、と、なんだか感慨です。いろいろなことを追っかけてきたのでしょうが、何も、こんなことまでも追っかけなくたっていいじゃないかと・・・。

産婦人科医が激減し、救急車で妊婦がたらいまわしにされるケースは、「子どもが欲しいと思った人たちが困る状態」しか浮き彫りにしていませんが、実際は、子どもが捨てられているケースは発生していることも、マスコミは取上げたほうがいいです。少子化という大問題に対して、できることは山ほどあります。子どもを持たなかった私が何を言う!なのですが、せっかく生まれた命が、病院から直接養護施設に行くよりは、赤ちゃんポストもありです。赤ちゃんポストは、実際に機能しているではないですか・・・。大きなおなかを抱えて、不安でたまらず、熊本まで出かけて行ける女性は少ないはずです。もっと増えてもいいと思うのです。

昨日も、いい気になって、生徒さんたちに生物のイロハを語ったのですが、「そういう内容なら習ってもいいなぁ」と言っていただけました。生命は最も大切なものです。その生命を置き去りにしなければならないほどの生活を強いられたり、それほどまでに心が切羽詰っていたりする状態で、日本で生きていく人がいることは、問題視しなければならないことです。その段階で捨てることがないにしろ、その後、まともに育てるかどうか?を考えると、ぞっとします。取り返しがつかないことを刻み付けて育ってしまう子どもたちが増えてしまったら・・・と思うと、何もできないことが悔しくてなりません。

もっと赤ちゃんを捨てるケースが増えたら・・・、しかも目の前で起きたら、あなたはどうしますか?

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