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餃子を作る

1999年に書いた文章です

なぜか我が家では伝統的に餃子というのはだいたい1ヶ月に一度食べるものでありました。他にもカレーやスパゲッティなんかもあったのですが、どうしてかこれには母親の影響があります。受け継いだ意識はまったくなかったのですが、西さんが好きなこともあって週末の金曜日か土曜日には1ヶ月に一度弱くらい、なぜかなぜか餃子を作ります。

母の理由としては当時の日本経済で豚の挽肉が比較的安かったというのもあるし、にんにくは身体にいいけれどもにんにく嫌いの父親に何とかして食べてもらいたい、というのがあったし、店では大量には食べられなかったし(しかも外食なんか香蘭って中華料理やさん以外に家族で行った記憶はないじょ…。)、弱肉強食な我が家での典型的一品だったから、というような説明がありました。

西さんは学業はわりとちゃんと修めた人ですが、彼の記憶力というのはたいへんにいいかげんです。夕べいきなり「うちのかあちゃんはもしかすると餃子を自家製で作っていたかもしれない」と11年に渡る「うちでは餃子なんか食べたこともない」という説をひっくり返そうとしていました(爆)。どうも気になるのでその場で電話してもらえばよかったのですが、餃子のためだけに電話するのもおとなげないのか?と思い、言い出せませんでした…。しかし気になりすぎて、ついつい今日のお題にまでなってしまいました…(汗)。

そこで食卓では我が家の弱肉強食について私が説明しました。本当にどうしてああだったのか、私は今もってけっこう胸が切ないのです。ひとりひとり小皿に分けて盛るということがなかった家でした。大皿にどーんと盛って、それをまさに競争して食べる、という様相の弱肉強食な食事現場でありました。けれど、何なんでしょうねぇ、私。その頃から自分のペースというのをおなかが空いていても守る子でありました。父は運転手なので休みの日はお酒を飲みます。ごはんは食べないのでつまみにしておかずだけ食べます。弟は食べ物に関してたいへんに要領のいい子だったので、ごはん茶碗の白米には手もつけずにおかずだけに専心してぱくぱくやってます。母は台所仕事が終了してから、彼女のペースでごはんとおかずをバランスよく、しかし確実に速く食べています。やっぱり大人である彼女はものすごく速かったです。私がごはん3口におかず1口食べているあいだに半膳くらい食べ終わってました。

学習能力がなかったのか、私は何にこだわっていたのか、いつも「ばっかねぇ、あんた何やってんの」という一言で、おかずなしごはんが半膳残るような状況が毎日まいにち飽きもせずに続きましたね。好き嫌いが激しかったこともあって、どうして餃子のように好きなおかずのときだけでも、弟のように「おかず攻撃」をしなかったのか、今もってなぞです。月末になるとごはんが食べられなくなるので、そのための防衛本能だったのか、あるいは純粋にごはんが大好きだったのか、物事に優先順位が元々つけられない子どもだったのか、なんていろいろ考えましたが、いちばんの理由はたぶん「好きなものは最後に食べる」というなぜか徹底した態度を守るやつだったからなような気がします。

今でもそうなんだよね…。そして西さんに食べられてまた半べそをかいています。「どうして取っておいてくれなかったの?自分だけぱくぱく食べちゃったの?」と何度言ったことか…。本当に学習の足りないやつです、私。

そういった弱肉強食家庭であってもうちの母は強かった…。餃子の一皿目を焼いてすぐに飢えた3人に与えておいて2皿目を焼くのですが、彼女はもう台所で先に食っていた…(汗)。天ぷらなんかもそうだったようです。そういえばときどき「あっつーい!」という悲鳴が聞こえていたような…。彼女が身につけた知恵らしいのですね、これ。どうして母をモデルにして真似っこできなかったんでしょ、私。

もう30年以上「あのねぇ、人間好きなものを先に食べないと他人に取られちゃうわよ」と母には言われつづけていて、おいしいものを食べるときには彼女とは今でもあまり同席したくないなぁと思うのですが(爆)、でもやっぱりいっしょにレストランやおすし屋さんに行って取られてます。繰り返し、くりかえし。結局彼女いわく、「あんたは食べ物に対して執着がないのよ」ということですが、うーん、そうであろうか?

餃子というのは具を作ってからあの皮に詰める作業がおもしろいですね。私は4歳のときから餃子包みしていますが、「いつか餃子の王将からスカウト来ないかなぁ」なんて思っちゃうほど速いです。留学生のOくんが1つ詰めるあいだに3つ詰めています。しかもきれいです(爆)。西さんは金曜日はとても疲れて帰ってくるので、餃子包みは強制しません。気分がいいときは勝手にやっていますが、とにかくへたくそです。けれども彼には「餃子包みが上手になりたい♪」という目標がないので私はそれを尊重します。留学生のOくんは上手になりたいようです☆

まな板にばばば~っと並べるのですが、どうもおかしい。双子にならない。みんなが双子みたいになりますよねぇ、同じ人が作ると。でも彼の餃子は私の餃子に似ていないどころか、自分が最初に詰めたやつにも似ても似つかないわけです(汗)。もう10回弱くらい包んでいるので、昨日はついにおばさんモードになってちょっと説教が入ってしまいました…(汗)。

「上手に包んでいる人の真似しようって気持ちはない?」
「あるよ、してるよ」
「うーん、工夫が足りないよ」
「だってちゃんと見てるよ」
「反対側から見てても正確には真似できないかもよ。こっちに並んで手を見たら?」

これってまさしく母が私に繰り返し言っていたことじゃぁないですか(爆)。4歳から始めて母が15個包んでいるあいだに1つしか包めない状況から、12歳でやっと母と同じスピード、自分で美しいなぁと見惚れる餃子が包めるようになった私としては、彼がいくら20代だからと言って10回くらいでできるなんて思ってもいないのですが、「職人技は見て盗め」的な考えでもないので、ちゃんと伝えることだけは伝えようなんて思ってしまうのですね。もちろん嫌かもしれないので先に「じょうずに満足いくくらい包めるようになりたいのか」は聞きます。

「そういえばこれって西さんにも言った言葉だよなぁ。くくく…」と笑ってしまいました。西さんはよく言えばとっても素直な人なので、反対側から見ていると私の右手を自分の左手として真似してしまう人です。西さんが箸を持てるのが遅かったのも、お母さんが目の前にいてそれを左手で真似していたから、という逸話があります。しかし、お母さんももうちょっと早く気づいてあげればよかったものを…(爆)。3日くらい続いたという話をお母さんからウラを取ってしまいました…(汗)。でもこういう親子は実在しますね♪

そしてこの3人は夕べ餃子をなかよく食べました。おかずが他に2・3品あったので大袈裟な弱肉強食にもならずふんだんに餃子の数はあったし、私が「好きなものは最後に食べる」というのもみんなの了解済みで、おおだいら家とは違いあくまで競争する大人たちではなかったからです。

しかし、今のおおだいら家は違います。私の義妹というのが繊細で平等を愛する人なので、姪っ子たちはみんな好きなだけ食べられます。弟の健康も考えてバランスよく身体と健康具合によって盛っています。私もその恩恵に預かっています。母は速く食べてしまってから「ねね、それ食べる?くれる?」と未だに私に尋ねています…(汗)。彼女のなかでは弱肉強食文化は終わっていません。飲み屋さんやレストランに行くと、好きなものからがんがん食べています。

さてさて来月か再来月くらいに留学生Oくんは同じくらい餃子を上手に包めるでしょうか?私は同じことを繰り返し言ってしまうのでしょうか?なんだか楽しみだったりします♪大地震が起こってそれまでに死んだりしませんように…。

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