心理的成熟のために その7 深く考えられるか?
(今日ちょっと長すぎます。でもかなりいいこと書いた自覚あり・・・)
あなたは今日、何かについて「深く考えた」だろうか。朝起きて、コーヒーを飲んで、スマホを開いて、ニュースを流し読みして。気づいたら夜になっていた、という日はないだろうか。「考えた気がするけど、何を考えたのかよく覚えていない」 ???
それは、考えていないのではない。浅く考えていたし、結論まで到達するほど考えなかったために記憶に留まっていないのだ。
「深く考える力」は、いつ完成するのか
実は、深く考えるための脳の基盤、実行機能は、10〜15歳の思春期に急速に発達し、18〜20歳でようやく成人レベルに到達する。1万人以上を対象にした大規模研究(N=10,766)が示したこの事実は、ひとつの安心材料になる。
「若いころ、なんであんなに衝動的だったんだろう」
それは意志が弱かったからではない。脳がまだ育ちきっていなかったから。そしてさらに興味深いのは、心理的な成熟のピークは30〜59歳の中年期だということ。2,531人を対象にした調査(14〜95歳)では、意思決定・計画立案・判断力などは、若年期よりも中年以降の方が優れているという結果が出ている。
つまり、あなたが30代以上なら、脳はすでに「深く考える」ために整っている。子育ての最中であれば参考にして、脳医学についての記事を今後はもっと追い求めてほしい。問題は、その機能を「できうる限り使っているかどうか」だ。
「深く考える」とは、具体的にどういうことか
心理学者Lawrence Kohlbergの道徳発達理論によれば、人の思考には段階がある。
- 段階3:「みんながそう言っているから」(良い子指向)
- 段階4:「ルールだから従う」(法と秩序)
- 段階5:「社会全体にとって何がよいか」(社会契約)
- 段階6:「普遍的な倫理原理から考える」
多くの大人は、段階4〜5にとどまるとされている。
英語学習に当てはめてみよう。
- 段階3の人は「周りがTOEICを受けるから、自分も受ける」と考える。
- 段階4の人は「会社の規定があるから、スコアを上げなければ」と考える。
- 段階5の人は「英語ができることで、自分はどんな価値を社会に提供できるか」を考える。
- 段階6の人は「言語を超えて、何のために人と繋がりたいのか」を問う。
どの段階から英語と向き合うかで、学習の深さも、続く力も、まったく変わってくる。ここが、ワタクシ大平が常日頃、「英語力の基本は人間力にある」という由縁(ゆえん)なのである。
日常の中「深く考えるチャンス」は無数
「深く考えるのは、難しいことをするときだけ」 そう思っていないだろうか。実は違う。日常の当たり前の場面こそ、思考を深める絶好のトレーニング場だ。たとえば、今朝コンビニで「ありがとうございます」と言ったとき。あなたはその言葉を、感謝として言ったか。それとも反射的に口から出ただけか。英語で “Thank you” と言うとき、相手の目を見ているか。相手がどう受け取ったかを観察しているか。
これが「再帰的思考」:自分が何を考えているかを、さらに考える力。
Longutudinal Studies縦断研究では、社会問題の倫理的・個人的含意を深く考える傾向が強い若者ほど、後年の脳ネットワーク(デフォルトモードネットワーク+実行制御ネットワーク)の発達と正の相関があることが示されている。
深く考える習慣は、脳そのものを育てる。だからゆえに、道徳や政治に無関心で、自分の距離感から外に出ないと、脳は広がりを見せない。本も読んでほしいのはそのため。
なぜ「深く考えること」を避けてしまうのか
正直に言う。深く考えることは、しんどい。なぜなら、深く考えると「答えが出ない問い」に直面するからだ。「自分はなぜ英語を学ぶのか」「本当にやりたいことは何か」——そういう問いは、簡単には答えが出ない。
だから人は、浅い処理モードに逃げる。SNSを流し読みする。返信をこなす。「なんとなく勉強した気」になる。
これを加速させているのが、情報過多の現代環境だ。スマホを持ち、常に通知が来る生活では、脳は自然と「浅く速く処理するモード」に最適化されていく。Precious One English School 英語基礎コースでは、これをConsciousnessというレッスンで学ぶ。
さらに、「完璧主義と失敗への恐怖」も深い思考を妨げる。深く考えれば考えるほど、自分の限界や矛盾が見えてくる。それが怖くて、考えることをやめてしまう人は多い。
そして見落とされがちなのが、「睡眠不足」だ。前頭前野——深い思考と判断力を担う脳の部位——は、睡眠不足によって著しく機能が低下する。「最近ちゃんと考えられていない気がする」と感じるなら、まず睡眠を疑ってほしい。つい最近も大学受験を控えている子が、「1時間以上多く眠るようになったら思考がクリアになったし、体力がついて、さらに食欲も増した。生きる力が増えたのかな?」とのこと。新高校1年の女子にも励行してもらおうと画策中。
深く考えるためにどうすればいいか
「なぜ?」を一回多く問う習慣を持つこと。もう1歩先まで考えることをクセにする。身に付いたとしても限りなく先がある状態が続く。思考をやめなくなれる。
英語が続かないとき——「なぜ続かないのか」ではなく、「なぜ続かないのか、の、なぜ?」まで掘り下げてみる。「時間がないから」→「なぜ時間がないのか」→「優先順位が低いから」→「なぜ優先順位が低いのか」→「本当に必要だと思っていないから」→「では、本当に必要だと思えるようになるには?」この一連の問いが、段階3の思考から段階5の思考へとあなたを引き上げていく。
深く考えることは、才能などではなく、後天的な習慣。一時的には訓練。そして、その訓練の場は、特別な場所にあるのではない。今日の、当たり前の日常の中に、すでにある。
あなたのポテンシャルをつぶしているのはあなた自身だということに、一分一秒でも早く気づいてほしい。






