突然だが、あなたは人と話すのが好きだろうか。「好き」と即答できる人。「場合による」と少し考える人。「正直あまり得意じゃない」と感じている人。
英語学習を始める前に、実はこの問いと向き合っておくことがとても大切だと思っている。なぜなら、英語力の伸び方は、英語そのものの才能より、「あなたが日本語でどんなコミュニケーションをしているか」と深く関係しているから。
日本人は「波風を立てない」方向にさらに進化している
文化庁の国語世論調査(2017年)に、興味深いデータがある。「これからの時代に必要な言葉の能力」として「空気を読む力」を挙げた割合が、2002年の7%から2017年には19%に増加していた。また、人と意見が違うとき「なるべく事を荒立てないで収めたい」と答えた割合は62%。2008年比で10ポイントも上昇している。
つまり日本社会全体が、「自分の意見をはっきり言う」より「場を乱さない」方向に向かっている。これは単純に悪いことではない。日本語のコミュニケーションには、察する力・場を読む力という高度なスキルが確かに存在する。
ただ、英語という言語は、その逆の方向に設計されている。
英語は「言わないと伝わらない」言語
日本語は、主語を省いても通じる。目的語だって省略できる。言いかけて止めても察してもらえる。「あれ、どうだった?」で会話が成立する。英語にはそれがない。
主語は必要で、動詞も必要で、何をどうしたいのかを明示しなければ伝わらない。「察してもらう」という文化的前提が、英語には存在しないからだ。そもそも多様的すぎてたとえ察しても間違えることが多いし(笑)。
だから「人と話すとき、なるべく波風を立てたくない」という感覚が強い人ほど、英語では苦労しやすい。自分の意見を明確にする必要がある言語で、意見を曖昧にするクセがついているから。これは性格の問題ではなく、習慣の問題だ。
内向的でも、英語は伸びる
「外向的な人の方が英語が上達しやすい」という話を聞いたことがあるかもしれない。確かに、Big5理論の研究では、外向性スコアが高い人ほど言語習得のアウトプット量が多い傾向があるという。話すことへの抵抗が少ないから、練習量が自然と増えるのだ。
でも、それはあくまで「傾向」だ。
内向的な人は、一般にパーソナルスペースが広く、慎重な発語傾向がある。英語でも「間違えたくない」という意識が強くなりやすい。ただしCarol S. Dweckの成長マインドセットがあれば、内向的な人でも十分に英語力を伸ばせることが示されている。「間違いを恐れない」人は、リアルタイムのフィードバックで修正できる。間違えるたびに、その場で学べる。だから圧倒的に早く上達する。外向的かどうかより、「間違えることへの向き合い方」の方が、英語習得のスピードに影響する。
しかも、ワタクシは、非常に内向的なのです。指数でいくと、内向性28、外向性72くらい。それでも必要とあらば間違いは恐れない。じゃなければヘリコプターのパイロットになろうとしてアメリカに渡っていない・・・。だってねぇ、寡黙であっても仕事が続くならばここは我慢しようと思えたから。そしてなんの因果か、今はかなり話さねばならぬ仕事をしている・・・。だから動画を作っていたりする(笑)。
「英語で何を話すか」が先
よく誤解されていることがある。
英語学習の最短ルートは、英語そのものをひたすら勉強することではない。「英語で何かをする」こと:英語を手段として使う前提で学ぶことだ。たとえば私がパイロットの学校に行き、なるべく話さない職業に就こうとしたように。
好きなテーマについて話す。誰かに何かを伝えたくて話す。知りたいことがあって聞く。
「英語を話すこと」が目的になっている間は、英語はなかなか身につかない。英語が「自分の中にある何かを伝えるための道具」になったとき、初めて言語として機能し始める。だってね、言語で成績なんて誰も本当のところは求めていない。だから「人と話すのが好きか嫌いか」は、実は英語学習においても重要な問いだ。
人と話すことに喜びを感じる人は、英語もその喜びの延長として使える。逆に「人と話すのが苦手」という人は、英語の前にまず「なぜ苦手なのか」「どんな相手となら話したいか」を考えることが、結果的に英語力の底上げにつながる。
内容のある人間になること
最終的に英語力を底上げするのは、「人としてできることを増やすこと」だと私は思っている。語彙や文法は、道具に過ぎない。道具をいくら磨いても、使う中身がなければ意味がない。日本語でも英語でも、「この人の話を聞きたい」と思わせる人は、言語に関係なく引きつける力を持っている。
あなたが日本語で話しているとき——相手はあなたの話を聞きたがっているだろうか。その問いへの答えが、そのまま英語力の土台になる。
「人と話すのが好きか嫌いか」実際は、どちらでも構わない。大切なのは、自分がどのタイプかを知った上で、英語学習の方法を選ぶことだ。外向的なら、とにかく話す量を増やす方向で。内向的なら、「間違えていい場所」を意識的に作る方向で。
自分の性質を「変えなければいけない欠点」としてではなく、「これを前提に設計する材料」として扱えるようになると、英語学習がぐっとラクになる。
さ、少しわかってきたかな?言語はそもそも人を拒否しないし、選別しない。そう思い込んでいるあなたはナニモノ?って話です。(◎_◎;)






