英語の前に日本語⑤——自分の意見、いったん「保留」できますか?
Common Ground:コモングラウンドいう言葉がある。日本語にすると「共通知識基盤」という理解でいいと思う。会話をしている二人の間に、すでに共有されている知識・前提・価値観の総体のことを指す。
英語で学ぶとすっと入ってくるのに、日本語にした途端に覚えにくくなる言葉がある。Common Groundはその典型だと思う(笑)。でもこれ、コミュニケーションを考えるうえで非常に重要な概念だ。Common Groundが広いほど、少ない言葉で深い話ができる。これに似た言葉にヘリコプターの飛び方を学んでたときの英単語があって、日本語にすると難解になる(笑)。Rotorcraft=回転翼航空機、みたいな感じ。(・_・;)
ではCommon Groundを広げるためには何が必要か。自分の意見や考えを、いったん横に置いておけるかどうか、だ。
人間は基本的に、自分がすでに持っている考えに合う情報を集めようとする傾向がある。確証バイアスと呼ばれるものだ。相手の話を最後まで聞く前に、頭の中で「でも」が始まっている。この状態ではCommon Groundは広がらない。
「自分の意見を横に置く」というのは、意見を捨てることではない。一時的に保留して、相手の話を丸ごと受け取る姿勢のことだ。「なるほど、この人はこう考えているのか」と、まず相手の地図を理解しようとすること。そのあとで自分の意見と照らし合わせればいい。二段階の一段階めで、自分の意見を採り入れないままで考えを受け容れること。これ、なかなか難しいらしい・・・。
そして一段落めの延長として、相手はなぜそう考えるのか?というステージを長く持ち、その理由をQ&Aしたり、確認したあとに、第二段落での自分の考えや感じ方であるもので、応答をすること。
これが日本語でできない人が、英語でできるようになることはない。異文化コミュニケーションでは特にこの能力が問われる。CSQで測ろうとしているのも、まさにこの能力のひとつだ。
たぶん、日本での答えは Natural Science化していて、答えが1つのものが多く、その基準点のそばにないものは、「えー!」「違うんじゃない?」となりやすいんだろうなという予想ができる。たとえばUSであれば、多種多様なバックグラウンドの人々が寄せ集まってできているので、答えが1個のことのほうがずっと少ないし、基準点になることはもっとシンプルで、「生命を繋ぐこと:生き延びること」や「尊重すること」など、中心哲学が割とはっきりしていることが多い。
たぶん気づいていると思うのだけれども、多様性が高いと、会話が長くなる。このCommon Groundがどこにあるかを探り、確定する作業はかなり根気や開放性や好奇心が必要で、好きでもない相手や、見た目の印象でネガティブなものを拾ってしまうと、かなり面倒くさいので止めてしまうケースはものすごく多くなる。
Common Groundは、黙って広がるものじゃない。自分の意見を保留できる人間が、意識的に広げていくものだ。
狩猟民族が長く続いた地域での文化では、この探り合いのプロセスが長くなってもOK、むしろ楽しいと感じることのほうが多いんだろうなという印象。私はとにかく英語を話すようになってからこっちのほうが、楽しかったことが多い。無知→知にするプロセスは、ものすごく満足度が高いから。だから、相手と自分の便図の広がり・共通項が増えていくことは、いわゆる狩猟民族の「獲物の獲得」みたいな感覚なんだろうなとイメージしてきた。
なので、成果物があって、楽しいんだろうなぁと。しかもコミュニケーションにおいては、距離が縮まって親近感が増えたり、信頼を獲得できたり、いいことだらけだし、自分の注意が低めのところの知識が来た日には、オトク感しかないから。
そう思いながら他者と会話したり、さらに英語圏での英語の話し方を学ぶと、もっと深みが出てくるし、実際、脳医学で証明されているように、Bilingual以上のヒトのほうが認知症にはならないしね。ちなみに子どもの頃から英語ができるようになったほうがいいってヒトのほうが多いんだろうけど、私は24歳半以降にできるようになったので、また違うメリットが多いのです。
- 高い「メタ言語能力」: 文法や構造を「客観的・論理的」に理解して学んだため、感覚だけで話す人よりも、状況に応じた正確な言葉の使い分けや、翻訳・通訳のような高度な脳の処理が得意になる。
- 強力な「脳トレ」効果: 完成した大人の脳に新しい言語のネットワークを築く行為は、脳にとって非常に負荷の高い「筋トレ」です。これにより、認知機能を維持・向上させる効果(脳の若返り効果)が、子供の頃から自然に話せる人よりもかえって強く得られている可能性があります[認知的柔軟性]。
そして多くのBilingualの人々が持つデメリットがほぼなくなる。それらは:
- 語彙数のトレードオフ: 単一言語話者と比較すると、特定の1つの言語において使用頻度の低い単語の検索や、パッと名前が出てくるまでのスピード(舌先現象)がわずかに遅くなることがある。
- 言語の混合(コードスイッチング): 2つの言語を混ぜて話す癖がつくことがあり、状況によっては単一言語話者と話す際に意識的なコントロールが必要になる場合がある。
- 初期の言語発達: 幼少期において、2つの言語を同時に学ぶことで一時的にそれぞれの言語の語彙数が単一言語の子供より少なく見えることがありますが、長期的には追いつき、差はなくなるとされている。
言語を行き来すると、自分の育った文化にないものまで獲得できるってすごいよね。しかも、その能力が高ければ、自分の言語でもオトクっていうのもすごい。考えてみてね!






