ゼロから積み上げる人たちを見ていて思うこと
選手たちはまだ来ていない。今日は準備の日。明日のリハーサルからが本格的なスタートで、朝11時から夜22時までの長丁場になるらしい。
この準備期間だからこそ見える景色がある。何もなかった場所に、少しずつ現場が組み上がっていく過程だ。それを横で見ていて、正直に言うと、私はまず「これしか方法がないのかな」と考えてしまう。合理性を優先する性格が、こういう場面でつい顔を出す。
セットになっていて効率よく進む部分もある。でも、現場ごとに事情が違って、同じ手順が通用しないことも多い。ゼロから、しかもその都度調整しながら積み上げていく。傍から見ていると、本当に手間のかかる作業だと思う。
それでも、これを毎回、心から楽しんでやっている人たちがいる。移動が多くても、準備がどれだけ膨大でも、それ自体が好きだから続けられる。前に書いた「掌握できないことがストレスになる私」とは、根本的に違うタイプの人たちなんだと思う。
自分の性分を考えると、たぶん私はこの手の仕事とは、ちょうどいい距離感で付き合うのが向いている。ゼロから何週間もかけて積み上げる長期戦は、こらえ性のない私にはしんどい。でも、業務が通訳という一点に凝縮された、もっと期間の短いものであれば、喜んで引き受けたいと思う。
好きなことのために、果てしない準備期間すら苦にならない人たちを見て、自分にはできないと分かるのも、ひとつの発見だった。無理に合わせようとせず、「これは自分には向かない」とはっきり言えることも、案外大事なことなのかもしれない。




