9月17日、岡崎駅から西尾駅までバスに乗った。実は、こういうのんびりしたバス旅というものを、これまでほとんどしたことがなかった。料金は580円。その安さにも、少し驚いた。

窓の外に広がるのは、1時間に1本しかバスが来ないような、のどかな風景だった。ここで暮らすとなったら、車がないとかなりつらいだろうな、と思いながら眺めていた。都会の便利さに慣れていると、こういう土地の時間の流れ方は、なかなか想像しづらい。ただ、実際に乗ってみると、話しながらだったこともあって、思っていたよりあっという間に着いてしまった。移動時間の長さというのは、案外、中身次第で変わるものらしい。

そんな景色を見ながら、ふと頭をよぎったのは、将来アメリカに戻ったときの車生活のことだった。何歳まで自分の運転で暮らしていけるのか、少し不安になった。62歳になった今、体力や反射神経が若い頃のままとは思わないけれど、とはいえ、かつてヘリコプターの操縦をしていた身なのだから、車の運転くらいはきっと大丈夫だろう、という妙な自信もある。結局のところ、こういうのはやってみないと分からない、というのが正直なところだ。心配してもきりがないので、そのときになったら考えればいい、というくらいの気楽さで受け止めておくことにした。

この日は、桑原さんが車を出してくれて、そのあと海も見に連れて行ってもらった。彼の車はおしゃれな見た目だったけれど、乗りながら、これは決して機能的ではないんだろうな、と密かに思ってしまった(笑)。デザインと実用性は、なかなか両立しないものらしい。それでも、久しぶりに見る海は、ただただ気持ちがよかった。

バスに揺られてのんびりした風景を眺め、車で海まで連れて行ってもらう。移動の手段がいろいろと入れ替わった一日だったけれど、そのたびに、これから先の自分の生活を、少しずつ想像させられるような時間だった。便利な車での移動も、不便なバス旅も、どちらも経験してみないと、その良さも不安も実感としてわからない。今回の遠征は、そういう「知らなかった感覚」に出会わせてくれる機会が多い気がする。