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ハードボイルドな側面

時間がないときには、昔のBlog記事を使って、重複しない工夫、というのを、中小企業診断士の山口先生に教わりました!ですので、See-Saaにアップしてあったものを少しずつ削除しつつ、保管し、こちらに移動していこうかと思っているのです。Cloud-Serviceなんてない時代からBlogを書いてきて、メモリースティックもSDカードもない時代から書いてきて、ざっと1300記事くらいあるのです。ほとんどが、「寝言」「小娘の身勝手な考察」でおしまいになってしまっているのですが、捨てるのはしのびないほどいいものもたまにある(笑)。ただ、やたらと長いのです。こんなのを毎日書けていた時期をたいへんになつかしく思っています。US生活は、勉強→遊び→学校→遊び→映画→遊び→読書→家事のようにして暮らしていたので、いつ仕事をしていたんだか(笑)。

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ハードボイルドな側面 [1999年07月21日(水)]

 

ハードボイルド:固ゆでの卵の意から転じて冷徹・非情の意。

1.文学上、感情を交えず、客観的な態度・文体で事実を描写する手法。ヘミングウェーらによって確立された。

2.推理小説のジャンル。1.の手法を応用し、非情な探偵を主人公とするもの。ハメット・チャンドラーらが代表的な作家。

Profileに書いた、私が「自発的についつい買ってしまう作家」にRobert B. Parkerがいる。彼の本に出逢ったのは21歳の冬で六本木の某有名チェーン店にバイク通勤していたときのことである。

そこでトレンチコートを着てバイクを褒めてくれた男の人があんまり上手に誘うもんで、ついつい彼と彼の友達といっしょに渋谷の彼の部屋まで招かれてしまったのですね>今思えばずいぶん危ないことである>夜中の2時過ぎ。

ノルウェー産のオイルサーディンをつまみにドンペリを開けてくれたKくんがのちに紹介してくれたのが、Robert B. Parker。

導入編で「愛と名誉のために」(原題 Love and Glory)を読んで挫折しまくりだった私は、これを自分の挫折のバイブルに決定!ところがですよ、この作家には別にスペンサーシリーズっていう探偵モノの小説群があるっていうじゃないですか。私は本屋さんに行って週にふたつづつやっつけたね(その頃で第12作めの「海馬を馴らす」まであった>1988年)

で、1999年現在、スペンサーシリーズはもう25冊め。以来訳者の菊池光さんには申し訳ないが英語で読んでる>そりゃぁ、最初の頃は苦労しましたさ☆

第三作で恋人になるスーザンという女性が出てくるんだけれど、以来山あり谷ありで彼らは魂が繋がっていつつ、結婚しないで同居しないでいっしょにいる。子どももいない。Parkerはスペンサーのファーストネームも明かさないし、おいしいところをたくさん残しつつハードボイルドな信念を披露してくれて、私は「自発的についつい買っちゃう」んですな。

探偵だから常に命がかかって「試される時」「究極の決断」「生命の尊さ」「瞬時に体現」に満ち溢れていて、事実の羅列とさりげない言葉のなかに、言葉なんかじゃ表現できない情景や感情が行間からうにゃうにゃ溢れてくる。

Parker自身が「日本で私の本はたいへん売れていて女性に人気があるようだ」と言っているんだけれど、私はスペンサーのそばにいるスーザンにちょろっと嫉妬しつつも、「スーザンにはなれない」ことを痛いほどわかっている。似ているようなところもあるんだけれど、やっぱり私はスーザンとは違う。スペンサーのような男を探す気持にもなれなかった。

で、私が無意識に試みてきたことはスペンサーそのものになることだったんじゃないか?と思う。たいへんなマッチョに見えて粗野であるが自己に厳しく、愛を表現するためにあらゆる男性的でないことをしつつ、神様からの借り物である身体を鍛え、不器用ながらも自分の世界と愛する人たち(めちゃくちゃ少ないんだけれども)との共有できる世界を少しずつ、でも確実に広げていく。元警官であるからもちろん社会のドロップアウトでもあるし、ステレオタイプである「家庭に恵まれない」環境に育ったし、貧乏ななかで生き延びるためにプロボクシングを経験したし、と考える材料は多い。

私は、見た目はたいへん女性的であるらしいのだけれど、粗野で自己に厳しく(他人にも厳しいという噂あり)、愛を表現するためにあらゆることして、身体を鍛えることに執着し、数少ない友人との世界を大切にしてきたつもりでも、なかなか埋まらないあの舌に残る苦い感覚を味わってきたと思う。社会にきちんとはまることもできなかったし、恨んだりして時間を無為に過ごしたこともある。

けれども、スペンサーになれるんじゃ?と思ってからの私はすんごく楽になった。自分に課したモノはとてつもなくでかいんだけれども、時代遅れな選択をする自分がはがゆくもなくなったし、他人が私をどう査定しようが気にならなくなった。私の真実は限りなく私のものであり、あなたにはあてはまるとは限らない、と思えるようになった。だから他人が私の自由や考えを全面否定しない限りは、他人に侵害されても「そこまでならいいわよ」という耐性がついた。これはドアマットになることとは違って、常識的だと言われていることにことごとく違う意見を持つと民主主義ではどうも折れないといけない場面が多くなるんですな。

だからスペンサーがスミス&ウェッソンを使わなければならないときの、すごい痛い気持がわかる。人を傷つけたり殺すってことはほんとによっぽどのこと。

そういう場面に立たないような場所になるべくいて、生命を左右する職業も選んでないけれど、これだけは譲れないよ、っていう信念が私にもやっぱりある。それを体現していくために、たまにケンカしちゃうし、ネガティブなこともしなくちゃいけない。でもしたくてしてるわけじゃなくて、先にある「これだけは大切にしたい」を守るためにどうしても必要なことだったりする。

よく「厳しいねぇ」「怖いねぇ」とご指摘があるんだけれども、うん、私は非情で冷たいです(爆)。

これもコインの表と裏な話なのかもしれない。「優しすぎる」と言われることもあってびっくりしちゃうこともあるし・・・。

「初秋」(Early Autumn 第6作)のスペンサーは少年に人間はどうあるべきかということを披露していく。教えるわけではなく、施すわけではなく、助けるわけでもなく、ただただ見せて話すだけ。「自分で決めたことはやりとげる」「自分の身体のなかに入れるものは吟味する」「自分にできないことがあるとは最初から思わない」「自分のポテンシャルを最大限使う義務が自分にはある」などなど、少年に見せる過程で自分のことも深く理解していく。

Early Autumn

私には啓蒙する気持も誰かに何かを教える気持も助ける気持もこれっぽっちもない。どんな細かい事情や環境や妥協や問題があっても、自分で決めてそれに責任持たないと。それがどんなに悲惨だってどんなにつらくたって、相談するより言い訳するよりそれを自力で解決したほうが早い。

見せることはできる、話すことはできる。いっしょに空間をシェアすることはできる。でも最後は自分だよね。

「人間はひとりで生まれてきてひとりで死んでいく」っていうのはハードボイルドな私の真実。それでも愛する人がいてほしいのも私の真実。

今日もハードボイルドになりきれないジレンマは続きます・・・。

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そしてRobert B. Parkerは2010年1月に77歳で亡くなりました。Spenserというキャラクターが上質すぎて捨てきれなかったためなのか、管財人たちに選ばれて、新たな作家を選出し、Spenserはまだ本の中で生きていきます。が、彼を生み出したParkerはもういないってことですね。

http://www.robertbparker.net/ 

そして今でも戦わねばならぬ人々のストーリーは好きです。ハードボイルドに生きているスタイルは変わっていません。そしてこののち、UC Berkeleyで心理学を学び、脳の不思議を知ることになりました。希求していたから出遭えたのですが、人のそれぞれの生き方の筋道をそれなりにReasoning(論証)することができるようになってきました。占いより正確です(笑)。

ぜひともハードボイルドな小説読んでみてくださいね。さらに、心について注目して映像化を進めてみてください。あなたも小説の中に入り込め、それらを体現できるかもしれない!

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