07/20/2006 にアップした文章です
John Grishamのこのタイトルの本を完読。ああああ、もう英語の本はあと2冊しか残ってないよ・・・。なのにアメリカに戻るまでにまだあと3週間ある・・・。焦る・・・。
私がこの本をとてつもなくエンジョイした理由は、この主人公である男性が、「計画性が醍醐味のすべてである」という台詞を途中で言っていたくらいに、ものすごい綿密な計画性のある人だったからで、その主人公の思惑通りに話は進んでいきます。
ミシシッピのBiloxiという町での老舗弁護士事務所に新しく勤めた弁護士が、私生活がバラバラになり、キャリアもどこにも行かなくなり、悪事に手を染めているかのような疑いを将来的に持たれる余地も生まれ、「どこかに消えてしまおう」と画策し、それに成功してしまったあと、4年間もの長いあいだ、逃亡者生活を続けていた時点から始まります。妻とひとりの娘を残し、彼はどのようにして自分のIdentityを消したのか、どうやって90ミリオン(日本円で約104億5千万円ほど)のお金を持ち逃げできたのか、4年ものあいだどうやって暮らしていたのか、などなど、疑問ばかりがある中、ストーリーはどんどんその詳細に答えてくれます。
この作品はGrishamの中でもそれほど新しいものではなく、なぜ私はコレを抜かしてしまっていたのだろう?8作目で、1997年のものです。あまりにも単純なタイトルが多いので、読んだか読んでいないか自信がなくなってくる、というのはたまにあることです。書評やあらすじを読むとしっかり自信が持てることもあるのですが、弁護士が主人公だらけなので、自信が持てないことも多し(笑)。リストはここ>ハードカバーの写真を見るだけでもちょいおもしろいかもしれない。Grishamは自分が弁護士だったときに仕事をしながら執筆し、デビューにこぎつけただけあり、弁護士が花形で憧れの職業らしくこなしている人々をしっかり描きながらも、そのわき道で悪事に加担してしまいそうなシーソーな状況の機微も本当にしっかり描いています。http://www.randomhouse.com/features/grisham/main.php
(ということは、最新のThe Innocent Manと今手元にあるBleacher(これ、フットボールもの)しか、彼のやつは残っていない。他の最近読み漁っている小説家のものもすべてアップデートできている・・・。うーん、つらい秋になりそうだ・・・)
まずは拷問の謎。拷問されたら口を割るかどうか?これはやられてみないとわからないと思うわけです。簡単に「大丈夫。秘密は死んでも守る」と言えてしまうやつは、逆な意味で信用できないし、当然「痛いのイヤだぁ。秘密なんて話しちゃう」というのもダメです。私には少しだけ実績があり、自分の信念は親にどんなに殴られても曲げることがなかった子ども時代から21歳までを過ごしています。痛みには強いとは言っていますが、平気なわけではありません。そりゃつらいですよ。でも、痛いよりはかゆいほうが我慢できないことも、私個人にとっては事実です。私の中では、Mel Gibson映画はここをいつもツボとして突かれてしまうわけです。The Brave HeartのWilliam Wallaceが拷問されたまま死ぬシーン。簡単に死なせてやるから話せ!と言われるのにどうしても謝らず、痛みを受け続けたシーン。あれはもう号泣ですね。さらに、The Passionでも、広間での問いかけと拷問、ゴルゴタの丘に行くシーンから磔で息絶える最後まで、この「自分の信念を周囲によって曲げさせられる」の連続なわけです。でも屈しない。私は、いくつもの自分の信じた理念を、痛みも含めた、悪口・後ろ指・仲間はずれなどなどのネガティブなものを引き受けてまで、曲げてくることはありませんでしたので、このThe Partnerでもこの部分が冒頭に来ているところで、すでに興味津々。4年後、連れ去られ拷問が始まるシーンからなわけです。そうやって主人公を好きにさせるわけなのね・・・と言いつつ、読み進めて行ったわけです。
拷問に耐えうる人が好きな人間は多いのだろうか?さとみちゃんは中学生のときのバレー部で、特訓という名の愛の鞭や拷問を受けていたそうです。今、ひとしきりその話を聞いたのですが、いやー、ひどいわ・・・。さとみちゃん、さっそくネットでその顧問の消息を探し始めました。なぜ、日常的に灰皿を使って頭を小突いたり、顔や頭をバンバン叩いたり殴ったりする教師を放置しておくのか、とまた不思議に思いました。さとみちゃんいわく;戸塚ヨットスクールよりひどかったですよ。とのこと。結果的に死人が出ていないだけの地獄だったのかもしれません(ちょっと検索したんだけど、ピンポイントできなかったなぁ)。
私は決して優しい天然質を持った人間ではなく、むしろ暴力的でバラバラに見られることが多いです。弱肉強食も部分として受け入れていますし、強さは美徳だと思っています。が、他人の権利や自由を侵す拷問に対しては、本当に憤ります。悪意があるから怒りが強く、悪意がないから弱い、という図式は私にはまったく当てはまりません。悪意があろうがなかろうが、ひどいことはひどい。この拷問を受けるときに、主人公が取った作戦は;質問される情報の答えを知らなければいい、ということでした。90ミリオンはどこにあるか?彼は知らなかったのです。
そうそう、これが2番目の謎なのよ・・・。90ミリオン(104、5億円)を自分が管理しないで安心して過ごせます?それをまんま預けてしまえる人がこの世にいますか?ここがふたつめの謎なのでした。私は、西さんになら、期間を設けてならば預けますね。他の人にはちょっと預けられません。母には預けてもいいのですが、行方はわかっています。他の人に全部取られて、オケラになっておしまいだわ・・・(汗)。このストーリーの場合は盗んだお金ですので、動かせる場所は Off-shore Banks(銀行の在外出先銀行、外国銀行;利点はその国の税率だったり、利子だったり、ま、いろいろあります)に限られてきます。あるいは紙切れの小切手にして保管しておくこともできますが、逃亡者ですので、「あんた誰?」とそのお金は取り上げられてしまうことになるかもしれません。この難しさは抜かしておいて、もしも私たちが、104.5億円というものすごい金額のお金を持っていたとして、どうやって隠して誰に託すのか?というのは、大きな問いかけです。西さんを信頼しているのは動かしようのない事実ですが、期間を設けている私ってシビアかしら?(爆)自分のお金であろうが、他人のお金であろうが、やはり税務署から逃げたり、銀行に預けられないお金は持っていたくないというのが本音です。西さんも同じでしょうから、彼に預けるにも負担になります。いや、私のお金だとしても、西さんは自分が管理しきれる以上の金額は預かりたくもないし、もらいたくもないことでしょう。私も起業をして儲けることを目的としましたが、「ここまでライン」をしっかり設けています。でなければ亡者になってしまい、キリがなく、天国の階段を登れなくなってしまいます。せっかくの貧乏だった子どもの頃の徳が減っていくよ・・・。なので、やはり謎は謎のままで、それほどまでにお金に執着しないのがいいのでしょう。やめます(爆)。
が、この謎が、タイトル The Partnerが来ている起源です。拷問に耐えうるために、お金のありかを知らない男が、パートナーを選ぶ。そして、過去をすべて清算して自由な身に戻る。
法律的・操作的、事件や真相を実証していくストーリーも、読めてしまうとはいえ、かなりおもしろいです。こんなに注意深い男の弱点を最後で読むこともお見逃しなく。私だったらこの人には怖いかもしれないけれども、毎日楽しいだろうからずっとついていきたいと思うんだが、こんな男の人タイプじゃない人のほうが多いのかなぁ・・・。日本語も出ているはずなので、読んでみてください。損はしませんよ♪私は途中何箇所か泣けましたが、どこが泣けたかわかったらすごいかな・・・。
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